Management Column税金にも影響する!成人年齢の引き下げ
2022年4月1日から、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。ニュースのインタビューでは「実感がない」「まだ自分が大人とは考えられない」などの感想が聞かれました。一方、20歳未満でも起業したり働いたりと、20歳を超える大人顔負けの活躍をしている人もいます。
では、この成人年齢の引き下げは、会計・税務に関係する場面ではどのような影響があるのでしょうか。
未成年取消権が行使できなくなる
成人年齢が引き下げられることで一番大きく影響するのは、未成年取消権といえるでしょう。会計・税務にかかわる場面だけではなく、社会生活での契約すべてにかかわってきます。
未成年取消権とは、未成年者が法定代理人の同意を得ずに結んだ契約は、取り消すことができる権利で、民放で定められています。未成年者は、取引の経験や知識が少なく判断能力も十分ではないため、契約をするときに原則として法定代理人の同意が必要とされます。ただし、法定代理人からお小遣いをもらってその範囲でした契約や、法定代理人から許可されて自営業を行いその事業上でした契約などは、未成年取消権を使えません。今後は18歳以上の年齢であれば、法定代理人の同意は必要なくなります。
個人住民税、相続税など
個人住民税においては、非課税となる要件が自治体によって定められています。未成年者の場合、前年の合計所得金額が135万円以下という要件があり、成年者より要件が緩和されています(自治体により金額が異なります)。今後は18歳以上で収入がある場合、緩和された要件での非課税制度は適用されなくなります。
また、相続税における未成年者控除が適用されなくなります。未成年者であっても控除額の計算において、今までは20歳から相続したときの年齢を引いた年数に10万円を乗じて計算していましたが、これからは18歳から相続したときの年齢を引いて計算するために、控除額が少なくなります。
このほかにも年齢が関係する制度では、成人年齢の引き下げによる影響があるので、注意する必要があります。
税理士、公認会計士資格はどうなる?
税理士資格については、もともと税理士試験の受験に年齢制限がないために、成人年齢の引き下げによる影響はないといえるでしょう。ただし、誰でも受験できる資格ではなく、学識、資格、職歴といったさまざまな分野の受験資格が定められており、いずれかの要件を満たすことで受験資格を得ることができます。
公認会計士資格については、成人年齢の引き下げの影響を受け、資格取得できる最低年齢が20歳から18歳に引き下げられます。
能力がある方が若いうちから活躍できるチャンスが増えることはよいことだと思いますが、税理士や公認会計士には、社会経験や実務経験も大切だと考えます。資格取得とは別に、研修制度などの整備も含め、資格に対する自覚を持って責任ある仕事をすることが大切になってくるのではないでしょうか。