Management Column法定相続人が一人もいない場合の対策
衆議院総選挙が今週末にせまり、メディアは選挙結果の予想でにぎわっています。日本は高齢化や非正規雇用増加などさまざまな問題を抱えており、日本を良くしていける政治家が求められています。また、政治家の不祥事が社会的に批判されたこともあり、透明性の高い政治が期待されています。各党の公約では、消費税率にも違いがあります。選挙結果は税制にも影響するので、注目していきたいところです。
日本の抱える高齢化問題は社会的なシステムに影響を与えていますが、高齢化すること自体は個人の問題で、誰もが考えざるを得ないものです。税金面では「相続をどうするか」という問題がありますが、近年は法定相続人が一人もいないケースが増えています。今回は、「おひとり様」とよばれる法定相続人が一人もいない場合の対策を考えていきます。
法定相続人がいない場合
相続人が一人もいない場合は、「相続人不存在」の状態になります。子どもや親類などがいない場合のほか、相続人全員が相続放棄をしている場合や、相続人が相続資格を失っている場合もこれにあたります。このような場合には、家庭裁判所から「相続財産管理人」が選任されます。故人の遺された財産は「相続財産法人」というものとなり、相続財産管理人が管理し債務があった場合の弁済などを行います。また、相続管理人は相続人や相続債権者を捜索しますが、それでも一定期間一人も現れなければ、遺された財産は最終的に国庫に帰属することとなります。
もし、内縁の妻などの特別縁故者が存在する場合は、相続人不存在が確定した後、3か月以内に家庭裁判所で手続きを行うことで、相続財産分与が認められる場合があります。
法定相続人が一人もいない場合の対策
法定相続人が一人もいない場合には、遺された財産は最終的には国庫に帰属することとなってしまい、その対策に悩む人が増えています。特別縁故者がいる場合でも、家庭裁判所の判断次第では認められない可能性もあり、生前に対策をしておく必要があります。
相続対策としては、自分の財産を渡したい特定の個人が法定相続人でない場合には、遺言で指定しておくことが対策となります。ただし、通常の法定相続人の相続と比べると、相続税が高くなったり、相続財産が不動産であった場合の登録免許税や不動産取得税が高くなるというデメリットがあることは念頭におく必要があります。
生前からできる対策
遺言を残す以外に生前からできる対策の一つとして、暦年贈与を利用する方法があります。暦年贈与の基礎控除枠は、家族以外の知人にも適用されるので、基礎控除の枠内で少しずつ贈与を行うことで、相続税の負担を少なくすることができます。ただし、定期贈与とみなされると一括課税される可能性があるので、注意が必要です。また、法定相続人が一人もいないことが問題となるのであれば、養子をむかえるのも選択肢の一つです。
相続対策は、亡くなってしまってからだと対策できる方法が限定されてしまいます。法定相続人が一人もいない場合はもちろん、法定相続人がいる場合でも、生前から対策を行っていくことが大切です。