Management Column会計事務所の行う経営コンサルティング
~経営学を学ぶと実際の経営に役立つのか?
ほかの会計事務所との差別化をはかり、クライアントの信頼に応えるためには、会計事務所に経営コンサルティング能力が必要になります。しかし、コンサルティングを専門とする会社に比べ、中小規模の会計事務所ではコンサルティングの基礎知識や実践経験が不足しており、コンサルティングを行うことに不安を感じている方も多くいます。
今回は、中小規模の会計事務所が会計・税務業務に付随して行う経営コンサルティングについての注意点や、経営学を身につけるべき理由についてお伝えしていきたいと思います。
中小規模の会計事務所に経営コンサルティング能力が必要な理由
小規模の会計事務所がクライアントからアドバイスを求められる場合、「専門家の立場として、自社の企業経営についてアドバイスをしてほしい」という漠然としたものが多いのではないでしょうか?クライアントにとっては、自社の顧問となっている会計事務所であれば信頼でき、説明の手間が省け、費用も安くすむというメリットがあります。会計事務所としては、ほかの会計事務所と差をつけ、クライアントとの信頼関係を強固にするチャンスとなります。
経営コンサルティングを行うにあたっての注意点
中小規模の会計事務所が経営コンサルティングを行うにあたって、まず頭においておきたいことは「その会社のことを一番知っているのは、その会社の経営者である」ということです。経営者があまり数字に強くなく、会計・税務については会計事務所に丸投げしてしまっている場合であったとしても、日々、取引先とかかわり資金繰りに悩み、肌で経営状態について実感しているのは経営者といえます。
外部の専門家として、中小規模の会計事務所に期待されているのは、その会社の経営について主観的な意見を述べることではありません。あくまで客観的な視点を持ちながら、経営者の視点にたったアドバイスが求められているといえるでしょう。会計事務所は多くのクライアントを持ち、様々なケースの経験があると思いますが、「客観的な視点」を持つためには「経営学」の基礎を身につけることをお勧めします。
経営学は実際の経営に役に立つのか?
経営学を学習しようと思ったときに気になるのが「経営学は実際の経営に役に立つのか?」ということです。経営学は、「企業が成長発展するための資源(ヒト、モノ、カネ、情報)をいかに効果的に活用するか」を追求していく学問です。経営学の理論は、成功や失敗をした企業について、その活動を分析し、共通項を整理記録することで組み立てられています。つまり、経営学を学ぶことは、過去を学ぶことといえます。未来の正解のない答えについて正しい解答を得ることは難しいかもしれません。
とはいっても、過去の事例から学ぶべきことは多くあり、分析手法や経営者の行う意思決定プロセスについて学ぶことで、経営における客観的な視点を養うことができます。少なくとも、自分の経験だけに基づいた主観的な経営アドバイスより、理論的な裏付けのある客観的な経営アドバイスのほうが、説得力を持つことができるのではないでしょうか?