Management Column経営にとってかかせない「ビジョン」
経営理念や経営戦略とともに、「経営ビジョン」は一般的な概念として浸透しつつあります。Webサイト上で明確にビジョンを示している企業も多くあります。ビジョンは、大企業ばかりでなく、中小企業の経営や個人の生き方にも役立つものです。ビジョンを持つことで、環境の変化に対応しながら軸のある姿勢を保つことができます。今回は、「経営ビジョン」について考えていきますので、コンサルティング、会計事務所の経営、スタッフそれぞれの生き方の参考にしてください。
経営における「ビジョン」とは
「ビジョン」というと、将来の姿というイメージがあります。経営におけるビジョンとは、経営理念をもとにして、企業の目指す将来の姿を、具体的に、従業員・顧客・取引先・消費者等の企業の内部・外部に表したものです。企業が成長していくためには、「目標」が必要であることは直感的にも理解できますが、経営ビジョンと目標は何が違うのでしょうか?
「ビジョン」は、企業の将来イメージの視覚化を伴った具体像になります。経営理念を実現するために経営ビジョンがあり、経営ビジョンを実現するために経営戦略があり、経営戦略を具体化したものが経営戦術となります。これに対して目標は、期限や到達点が具体的に分かるものをいいます。例えば「1年以内に売上20%を目指す」というものは、「目標」にあたります。
経営ビジョンの具体例
ANAグループでは、「安心と信頼を基礎に、世界をつなぐ心の翼で夢にあふれる未来に貢献する」という経営理念を掲げています。これを実現するために「お客様満足と価値創造で世界のリーディングエアライングループを目指す」という経営ビジョンを掲げ、具体的な行動指針を公表しています。
トヨタグループでは、グループ創始者の考え方を基礎とし、「国際社会から信頼される企業市民をめざす」等の7つの基本理念を掲げています。これを実現するために「未来のモビリティ社会をリードする」等のビジョンや行動指針を公表しています。
経営ビジョンの必要性
各企業の経営ビジョンを読むと、その企業の目指すべきものがわかり、企業行動にも「なるほど」と思うことがあります。経営理念やビジョンが明確な企業は、信頼性も高いといえます。経営ビジョンには、経営者や従業員の姿勢・行動の方向性を示すとともに、価値観を社内で共有し結束力を高める効果があります。また、社外に示すことで、その企業の社会での位置付けを明確にし、信頼性を高める効果もあります。
経営者の必読書として長く愛読されてきているものに、ジム・コリンズが書いた「ビジョナリーカンパニー」という本があります。「ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則」に続き、3冊の続巻と特別編があり、どの本も高い評価を得ているので、仕事の合間に読んでみるのも良いと思います。