Management Column新型コロナウイルスが中小企業に与える影響と対策
新型コロナウイルスの影響が拡大し、もはや対岸の火事とはいえない状況になっています。感染自体も、もちろん心配ではありますが、日常的にできる対策は手洗い等の徹底とマスクの着用、そして日頃から免疫力アップのための健康な体作りしかありません。
会社経営に携わる中では、健康面だけでなく、経済への影響も心配です。今回は、新型コロナウイルスが会社経営にどのような影響を及ぼす可能性があるか、対策はあるか等を考察していきます。
人の動きと消費への影響
過去に起こった感染症の拡大による経済への影響から考えると、感染症の拡大は、人の行動範囲を狭くします。今回の新型コロナウイルスでも、中国と中国以外の国の行き来に影響を与えています。また、中国国内では、武漢をはじめとした中国全土で外出が制限され、中国現地での企業活動を行っている日本企業は、活動停止を余儀なくされています。インターネット等を利用して仕事を行うことが可能な場合もありますが、企業活動に大きな影響があることがほとんどで、貨物の輸送も困難になりつつあります。
また、感染症が拡大すると、消費活動にもダメージを与えます。日本ではオリンピックをひかえ、インバウンド消費による景気拡大が期待されています。しかし、現在は中国からの団体観光客が制限されており、今後、日本での感染者数が増えると、感染を警戒し、日本へ訪れる観光客がさらに減少するおそれがあります。
さらに、世界の工場とよばれる中国の工場がストップすることにより、自動車やパソコン等の供給が減少することが懸念されています。
企業労務への影響
企業経営に携わる方は、今後、新型コロナウイルスの感染がひろがり、従業員の中に感染する人が出てくる可能性も頭にいれておかなければなりません。
新型コロナウイルスに感染して休業する場合には、一般的には「使用者の責」に帰すべき休業には該当しないため、休業手当を支払う必要はありませんが、被用者保険に加入していて要件を満たせば、傷病手当金が支給されます。会社側から、中国から帰国して症状がない従業員を念のため一定期間は出勤させないというような措置をとる場合には、6割の休業補償を支払う必要があります。
厚生労働省のWebサイトに「新型コロナウイルスに関するQ&A」に詳しい解説がありますので、参考にしてください。
厚生労働省 新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)企業でできる対策
- 正しい情報の収集・発信
- 厚生労働省等の公式サイトで、正確な情報を収集し、従業員に周知することが、パニックや不安を避けるために有効です。
- 適切な感染防止策
- 手洗い徹底やマスク着用を行います。状況に応じて、不必要な外出を避ける・通勤方法を変更する等を検討する必要がでてくる可能性があります。
- 本格的な流行の前の事前準備
- 品不足が問題となっていますが、マスクや消毒用アルコール等の備蓄品をチェックし、補充することも必要になります。
- 行政や金融機関等の支援制度を利用する
- 特に中国との取引の多い企業は、経営や財政の危機が予想されます。自治体によっては、中小企業に経営支援資金の融資を行っています。感染拡大とともに、行政や金融機関の支援制度が増えると予想できるので、これらの支援制度を利用するのも1つの方法です。