Management Column国税庁の高濃度エタノール製品製造免許の簡素化
新型コロナ感染症の影響で、政府や地方自治体の方針から目が離せない状態が続いています。原油の先物市場がマイナスになる等、世界経済の動きも気になります。感染症の拡大防止と経済の動きをどうコントロールするかが課題となっています。
国税庁では、納税猶予等、さまざまな模索が続いており、今回の感染症の影響の1つとして消毒液の代用品である高濃度酒類製造の期間限定免許を新設しました。
酒類製造販売と国税庁の手続き
今回の期間限定の制度は、新型コロナ感染症拡大防止のための消毒液が全国的に不足しているため、その代用品として使用する高濃度の酒を製造しやすくするための制度です。マスク不足より深刻な消毒液不足が解消されるきっかけとなることが期待できます。
そもそも、酒類製造販売をするには、税務署の免許が必要となります。インターネットでオークションとして出品する場合でも、継続して出品するには免許が必要です。ただし、自分で飲むために購入したり受贈されたもので不要になったものを一時的に出品する場合は、通常は継続的な酒類販売に該当しません。
今回の制度は、既存の酒類製造者が「高濃度エタノール製品」のみを製造する免許ですので、他の免許については以前の通りとなります。例えば、インターネット販売によって高濃度エタノール製品を複数の販売者から購入して販売したり、単発でも多く購入して販売する場合には、実質的に「業として販売」に該当する可能性があり、通常の酒類小売業免許が必要となります。
国税庁 高濃度エタノール製品に該当する酒類を販売する場合の留意点(ポイント)について高濃度エタノール製品に該当する酒類製造
アルコール消毒液供給不足の中で、厚生労働省は酒造メーカーが作るアルコール濃度が高い酒を、消毒液の代わりとして使用することを認めました。これを製造するには、ウォッカ等のスピリッツを作る免許が必要になります。国税庁では、この免許がない場合でも、高濃度エタノール製品を製造できるようにするため期間限定の免許を新設し、4月21日から申請の受け付けています。
通常、2か月かかる処理期間は、「可及的速やかな処理に努める」とされ、迅速な処理が期待されます。また、一部の資料添付省略や記載省略も認められています。
日本でも消費減少傾向が続き、経済への影響が懸念されていますが、酒類製造をしている事業者にとっては、高濃度エタノール製品は供給が追いつかないほどの需要増です。感染症対策をしながら事業を継続していかなければなりませんが、消毒液不足解消のためにも、ぜひ活用してほしい制度ですね。