Management Column従業員が新型コロナに感染した場合・感染疑いのある場合の対応
日々、新型コロナが拡大しており、地方自治体の中には、独自の非常事態宣言を出すところが出てきています。時短営業を求められる等、業種によっては明日の経営も不安な状態に陥っている経営者もいます。そんな中、いつ自分や従業員が感染するのか、不安に思いながら事業を続けている方がほとんどなのではないでしょうか?その不安も、これだけ感染者数が増えていては、現実味をおびてきているように思います。
では、自分や従業員が新型コロナに感染したり、感染疑いがある場合、どのように対応するのがよいのでしょうか?対応策をまとめました。
感染疑いがある場合には在宅対応を
事業を行っている場合、事業所内ではマスク・うがい・手洗い・アルコール消毒等を徹底し、日々の感染防止につとめる必要があります。また、在宅勤務やテレワークを導入できる場合は、積極的に導入していくことが、感染リスクを低くします。とはいえ、事業所へ出勤しなければならない場合も多いのが現状です。
軽い咳や少しの体調不良でも、今の時期は在宅での対応が望ましいといえますが、「コロナじゃないの?」というハラスメントに近い冗談や、出社することを拒否することは、補償・賠償の問題が生じかねません。「少しの体調不良でも、今の時期は無理をしないで休むか在宅ワークが望ましい」ということを説明して理解を得る必要があります。まずは事前に、会社全体で、体調不良の場合の対応を協議して方針を決め、これを従業員に周知しておくとよいでしょう。
経営者は従業員にマスクの着用を強制できるかについて、経営者には安全配慮義務があり、マスクの着用を求めることができます。しかし、皮膚疾患等の合理的な理由がある場合は、強制することができません。息苦しい、メイクが崩れる等の理由は合理的とは考えらません。マスク着用に関しても、まずは従業員の理解を得ることが大切です。
感染した従業員への対応
新型コロナ感染の疑いがあり自宅待機をしていた従業員が、正式に陽性であることが判明した場合、医師や保健所の指示に従い、その従業員に感染のリスクがなくなるまでの間、休業してもらうことが必要です。また、感染者の体調等に気をつけながら、行動歴等を聞き取り、濃厚接触者がいないかを把握するようにしましょう。
新型コロナ陽性反応が出た場合は、都道府県知事が行う就業制限による休業にあたり、賃金の支払い義務はありません。感染が業務や通勤に起因すると認められる場合には、労災保険給付の対象となり、医療従事者が院内感染したケース等は、業務上災害と判断される可能性もあります。
感染した従業員や濃厚接触者の行動歴が分かると、手指等の接触場所を洗い出すことができ、消毒すべき場所がわかります。最終出社日・前2日間に15分以上の使用があった場所・濃厚接触者の手指が多く触れた場所・トイレ等の共用場所を消毒するとよいといわれています。
感染者が出たことを公表すべきか否か
新型コロナ感染による誹謗・中傷が社会的問題となっており、感染者が出たことの公表は慎重にならざるを得ません。ただ、濃厚接触者となるかもしれない顧客や取引先に必要な情報を開示することは、企業の社会的責任として必要なことだといえます。しかし、個人の特定が可能なほど詳細な情報を公表する必要はありません。
また、経営者は、会社内で感染した従業員への風当たりが強くならないよう、自分がハラスメントにあたる行為を行ってしまわないよう、十分に注意するようにしなければなりません。体調不良を言いやすい会社の雰囲気づくりも大切です。
感染が拡大し、自分や従業員も感染してしまった場合のリスクははかりしれません。まずは、これ以上感染が拡大しないことを願うばかりです。