Management Column資金調達でおさえておきたいポイント
新型コロナの新規感染者数が減少傾向にある地域が多くなり、オリンピック開催や緊急事態宣言が解除されるかどうかについてのニュースが増えてきました。しかし、今後、人の流れが多くなることによる再拡大が懸念されており、まだまだ予断を許さない状況です。
企業にとっては、制限をかけられていた企業活動が再開できるチャンスでもありますが、必要資金が増える時期ともいえます。経営者の中には、企業活動を拡大するための資金に悩む方も増えてくるかもしれません。そこで、今回は、クライアントから資金調達の相談をされた際に、おさえておきたいポイントについてまとめました。
必要な運転資金を知る
資金調達の際には、まず、必要な資金額を算出することが必要です。経営を継続していくために必要な資金は、大きく運転資金と設備資金に分けられます。これを計算することで、返済原資が確保できるかどうかも分かります。
運転資金は、貸借対照表から算出することが可能です。売掛金等の売上債権に、商品等の棚卸資産を足した金額から、買掛金等の買入債務を差し引いた金額が運転資金となります。コロナ禍で変動している部分もあるため、直近の5期分程度の運転資金の推移をみて把握するのが望ましいでしょう。
事業拡大をする際に、棚卸資産の増加が必要な場合には、資金調達の際に増加する運転資金を考慮しなければなりません。また、この運転資金は、売上債権の回収期間を短くする・無駄な在庫を減らす・買入債務の返済期間を延長するといった方法で、少なくすることができます。
設備資金と事業計画
事業を拡大する際には、人材や店舗の確保、車両や工場機械の購入等のために資金が必要となります。これらの必要資金は設備資金とよばれています。この設備資金は、投資資金と捉えることができ、投資にみあったリターン(利益)がなければ、投資を行うことはできません。
このため、事業拡大のための資金調達を行う際には、将来の予測に基づいた事業計画を立てる必要があります。事業計画を立てることで、将来の売上や利益を把握することが可能です。さらに、資金の流入と流出を把握するためのキャッシュフロー計算書を作成することで、借入れの返済が可能かどうかの判断をすることができます。
資金調達をした後の返済していく段階でも、実際の数値を事業計画と比較することで、現在の状況を把握し、問題があった場合の早期改善策の立案へとつなげることができます。
金融機関から信頼されるためには
中小企業にとって、必要な資金を迅速に調達できる先は、まず金融機関が検討されると思います。金融機関と取引を行うためには、信頼関係が大切です。
金融機関から信頼を得るためには、事業計画書の提示のほかに、試算表や資金繰り表等の提示報告をするとよいでしょう。できれば日頃から取引を行い試算表等を開示しておくと、信頼が得られやすいです。
金融機関によっては、融資方針に違いがあり、必要な時期に迅速に資金調達が可能になるとは限りません。その対策として、普段からメインの金融機関のほかに、いくつかの金融機関と取引をしておくことがおすすめです。