Management Column新型コロナ感染リスクが高まっているときに備えるべきこと
連日のように、新型コロナの新規感染者数と重症者数が過去最高の数字となったニュースが流れ、医療崩壊が現実となってきています。ワクチンの接種が終わっている人も、ブレークスルー感染の懸念があり油断はできません。医療機関に頼ることができない可能性がある今現在、まさにリスク管理を徹底させる時期といえるでしょう。
会計事務所内という職場の中で、また、クライアントへのアドバイスの中で、できることは全て実施しているかどうか、今一度見直してみましょう。確かに、オリンピックを開催したことで、政府からのメッセージが国民の心に響かない一面もあります。しかし、政府の態度に左右されるのではなく、自分自身の意思と判断で危険性を検討し、自分や周囲を守るという観点から考えることが大切なのではないでしょうか。
ワクチン接種
高齢者ではない一般の人に、ワクチン接種が進みはじめました。ワクチンの接種については、接種を受ける本人の自己判断となります。
まずは、ワクチンを接種したかどうかで差別をすることのないようにしましょう。ワクチンを接種することで、感染や重症化のリスクを下げることはできますが、ゼロにすることはできません。ワクチン接種を受けるということは、自分自身について、その有効性と副反応などの不利益とを天秤にかけた結果、受けたほうが良いという判断をしたということにすぎません。
次に、ワクチン接種を受けると決めた人に対しては、接種のための時間と接種後の副反応に備えるための時間を確保するための休暇を用意しましょう。ワクチンの希望者については、ワクチン接種が最優先事項であると考えるべきです。副反応が出なかった人に対して休暇を用意する必要はありませんが、副反応が出るかどうかは事前には分かりません。ワクチン接種の予定にあわせ、大事な打ち合わせや外出の予定を事前に調整しておくとよいでしょう。
出勤できない事態に備える
新型コロナ感染症の感染者数が爆発的に増加していますが、まだ学生は夏休みの時期で、社会人にとってもお盆期間が終わったばかりです。学校がはじまり、社会活動が通常の状態に戻っていくことを考えると、感染状況がさらに悪くなる可能性があります。日本ではロックダウンが行われませんが、感染してしまった人はもちろん、その濃厚接触者は外出することができなくなります。また、全体として学校が休みとならなくても、感染者や濃厚接触者が発生した学校やクラスが一時的に休みになることがあり、その場合には子どもを持つ親は家にいなくてはならなくなります。
つまり、感染者数が増えることで、国としてロックダウンが実施されなくても、個別に外出できなくなる可能性が高まるということになります。感染者数が増加している今は、これは不測の事態とはいえず、常に「急に仕事に行けなくなる」というリスクに備えつつ仕事をしていく必要があります。
現在、テレワークを進めている会計事務所や会社でも、交代制で出勤するなどの対応をしていると思いますが、急に出勤できなくなった時にこれらの対応を柔軟に行うことができるよう、事前に打ち合わせをしておくとよいでしょう。テレワークができない職種では、急に出勤できなくなった人がいるときにどのように対応するのかを事前に決めておく必要があります。
東京都などで、保健所の業務が追い付いておらず、濃厚接触者の調査が追い付いていないそうです。保健所の判断がなくても、身近に発熱などで体調不良の人が発生した場合には、自ら「出勤をしない」という判断をするのもよいのではないでしょうか。上司や経営者は、そのような判断を尊重することが、会社の従業員や取引先を守ることにつながるかもしれません。今は、無理をするのではなく「できるだけリスクを避ける」ということを大切にする風潮をつくっていくことも大切です。
日常生活を守り長期戦に備える
新型コロナの感染リスクはできるだけ避けるべきものですが、社会経済活動なくしては生活をしていくことができません。休業要請が出ている業種以外では営業を続けていかなければいけませんし、テレワークが進められてるとはいっても出勤をゼロにすることはできません。マスクを正しく着用し、手洗いうがい消毒を徹底するほかにも、外出を減らし、出勤しなければならないときには時差出勤を取り入れるなどで対応していきましょう。
通常の状態であれば、従業員のプライベートに踏み込むことは敬遠する風潮となっています。しかし、一人暮らしの従業員が体調不良で休んでいるときなど、気軽に医療機関を頼れない状況下では、上司が気にかけ連絡を取るという対応をするのもよいかもしれません。また、テレワーク下であっても、職場の雰囲気をできるだけ明るく保つことでモチベーションがアップし、仕事にも安心して取り組んでいけます。