Management Column会社で新型コロナの陽性者が発生してしまったら
新型コロナの新規患者数が爆的に増加しているため、自分とは無関係と思っていた人でも、ちらほらと周囲に濃厚接触やPCR検査陽性といった話を聞くことがあり、身近な話題となってきたのではないでしょうか。
先日、陽性者が発生してしまい保健所の指導を受けた会社の経営者に、話を聞く機会がありました。保健所の方に「まずは手洗い・うがい・消毒。換気を徹底させ、密を避ける。マスクは不織布マスク。」と言われたそうです。2~3週間は休業し、関係者への電話連絡などに追われているということでした。
今回は、もし会社内に陽性者が発生してしまった場合に、会社としてどのような対応をしなければならないのかをまとめました。感染爆発の中、いつ誰が陽性者になってもおかしくない状況にあります。日頃から心構えをしておくことで、いざというときに迅速に対応ができると思います。
陽性者に対しての対応
PCR検査を受けた結果、陽性であった従業員には、医師や保健所の指示で、感染のリスクがなくなるまで休業してもらう必要があります。陽性の結果が出るまでの段階でも疑いがある間は、従業員の体調などを踏まえ、自宅での待機やテレワークで対応しなければなりません。新型コロナの疑いがある段階で、陽性者自身も不安になっていますので、体調面を気にかけながら電話やオンラインを活用し、細やかなコミュニケーションをとるとよいでしょう。
賃金の支払いはどうなる?
休業している間の賃金については、陽性反応が出た場合は、都道府県知事が行う就業制限による休業であるため、企業には賃金の支払い義務はありません。感染が業務や通勤に起因すると認められる場合には、労災保険給付の対象となります。業務に関連したものではない場合でも、要件を満たせば、各保険者から傷病手当金が支給されます。
陽性が判明する前の段階で、発熱など新型コロナ感染疑いの症状が出ている場合には、従業員自身が有給休暇などを取得して休むケースが多いのですが、もし従業員が休まない場合には会社が自宅待機を指示すべき状態といえます。この場合には、従業員が仕事をできる健康状態にはないので、賃金の支払い義務はないと考えます。ただし、従業員が普段どおり仕事をできる状態にある場合には、会社の判断による自宅待機であるため、休業手当として平均賃金の6割以上を支払う義務があると考えられます。
会社に賃金を支払う義務はない場合でもも、働きたいのに働けない従業員に対しては、できるかぎりの支援をしたいものです。新型コロナについては、休業支援金・給付金がありますので、該当する場合には活用を検討してみてください。
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金濃厚接触者の把握や行動履歴の確認
会社内に新型コロナの陽性者が出てしまった場合には、濃厚接触者を特定することが、感染拡大を防ぐ予防策となります。通常は、保健所の聞き取り調査などで濃厚接触者を把握し連絡をしますが、新規患者数が爆発的な増加をしている現在、保健所の業務が追いついていない地域があり、濃厚接触者の定義が流動的になっていたり、濃厚接触者への連絡を感染者自身が行わなければならなかったりするケースも出てきています。
会社としては、陽性者となった従業員の業務中の行動履歴を確認し、場合によっては会社と陽性者が協力して、濃厚接触者となった人への連絡をする必要があります。また、社内での消毒や休業を行う場合には、取引先などにも連絡を行わなければなりません。
会社で今から心がけるべきこと
- 行動履歴の記録
- 会社で陽性者が出た場合には、行動履歴の把握を行わなければなりませんが、普段から業務中の行動履歴と接触者を記録しておくようにすると、いざというときには、その記録を見ながら確認することで濃厚接触者の把握が可能となります。
- 消毒を行うための用意
- 陽性者が出てしまった後の消毒は、会社で行わなければなりませんが、専門の業者に依頼することもできます。消毒が必要な場合の手順について、事前に確認しておくとよいでしょう。なお、消毒のための費用については、自治体により補助金が出る場合があります。
- 連絡手順の確認
- 会社で陽性者が出てしまった場合には、関係者への連絡に時間がかかります。この場合、連絡網や分担表を作っておくと、スムーズに連絡をすることができます。対外的に陽性者の発生を公表する必要がある場合に備え、その方法や範囲を事前に話し合っておくことも必要です。