Management Columnウクライナ情勢への支援策
連日のニュースで、ロシアによるウクライナ侵攻の情報を注視している方も多いと思います。ロシアという大国とウクライナの間の紛争が激化し、国際社会は大きく揺らいでおり、日本の経済社会にも影響しています。
ロシアに対する経済制裁は各国とも痛みを伴うものとなりますが、不利益があったとしても侵攻を許容しないという決意の表れといえます。今回は、この侵攻などに関連した中小企業への支援についてご紹介します。
特別相談窓口
ウクライナ情勢や原油価格高騰などにより影響を受けた中小企業や小規模事業者の相談に対応するため、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫、信用保証協会、商工会議所などに特別相談窓口が設置されています。令和4年2月25日付で「原油価格上昇に関する特別相談窓口」が「ウクライナ情勢・原油価格上昇等に関する特別相談窓口」へと拡充されており、資金繰りや経営についての相談を受け付けています。
日本貿易振興機構(JETRO)では、「ウクライナ等ビジネス相談窓口」を本部および全都道府県のJETRO事務所に設置しています。
セーフティネット貸付の運用緩和
日本政策金融公庫などでは「セーフティネット貸付」が行われており、この貸付の支援対象者をウクライナ情勢や原油高などにより今後の影響が懸念される事業者にまで拡大しています。「セーフティネット貸付」とは、社会的・経済的環境の変化などで、一時的に経営状態が悪化しており、中長期的には回復し発展することが見込まれる方を対象に、経営基盤の強化を図るために利用できるものです。
要件は、最近3か月の売上高が前年同期または前々年同期に比べて5%減少などですが、特別相談窓口が設けられている場合には、数値要件が満たされていなくても、資金繰りに著しい支障をきたしていたり、きたすおそれがあったりすることで対象となります。設備資金では15年以内、運転資金では8年以内で、4,800万円が限度とした借り入れが可能です。利率についても、ウクライナ情勢や原油高を受け利益率が5%以上減少している場合には、0.2%の引き下げが実施されています。
今後の日本への影響
ウクライナ情勢に関しては、戦況などが連日報道されていますが、制裁措置や経済状況についてはその影響が分からず、不安に思う経営者の方も多いのではないでしょうか。実際に、今後どのように世界の状況が変化していくのかは、予測しづらい現状です。
ただ、状況が好転して侵攻がストップしたとしてもロシアは国際的な信用を失っており、以前と同じ状態に戻ることは難しく、影響が長期化することは避けられません。できるだけ平和的で国を問わず人権が侵害されない方法で解決できればよいと願います。
中小企業への影響としては、原材料価格の値上がりが共通した影響となりますが、直接的に関連国と輸入・輸出・雇用関係にある場合には、より大きな影響があります。経営方針の転換や仕入ルートの見直しなど、その企業ごとにさまざまな取り組みが考えられます。