Management Column節税に役立つ3つの制度
令和4年度も9月末となり年末が気になりだすと、資金繰りや税金の納付に悩むクライアントから「何か、節税になる対策はありませんか?」と聞かれる機会も増えてきます。
クライアントの担当者は、日頃から親身になって、法律の範囲内で節税対策のアドバイスを行っていることと思います。今回は、数ある節税対策の中から、効果の高い事業者におすすめの制度を3つ紹介いたします。
小規模企業共済
小規模企業共済制度は、小規模企業の経営者や役員が、廃業や退職に備えて積み立てを行うための制度です。掛金は、全額を所得控除できます。共済金は、退職や廃業時に受け取りることができ、受け取り方として一括・分割・一括と分割の併用の選択が可能です。一括して受け取る場合は退職所得、分割して受け取る場合は公的年金等の雑所得扱いとなります。さらに、契約者は中小機構のさまざまな低金利の貸付制度を利用できるというメリットもあります。加入資格に従業員数などの要件があるので、注意が必要です。
小規模企業は退職金の積み立てを行っていない企業が多いため、実際に廃業・退職時に生活資金に困るケースも多いです。利益が出ていて節税対策をしたいのであれば、将来に備えることができるこの制度は、おすすめの制度です。
中小機構 小規模企業共済経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は、取引先の倒産のなどの不測の事態に備えるための共済制度です。法人・個人事業主を問わず利用でき、無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで、借入れが可能です。この共済制度が節税対策によいとされる理由は、その掛金が全額、損金や必要経費に算入できるからです。
掛金の月額は5,000円から20万円までの範囲内で自由に選ぶことができ、増額や減額も可能です。解約する場合でも、解約手当金を受け取とることができます。掛金を12か月以上納めていれば、自己都合解約でも掛金総額の8割以上を受け取ることができます。40か月以上納めていれば、掛金全額を受け取ることができます。ただし、掛金を収めた期間が12か月未満の場合は、掛け捨てとなってしまうので注意が必要です。また、解約手当金は益金や事業所得となります。
掛金は費用、解約手当金は収入となるので、全期間を通じてみると損得はないようにみえますが、不測の事態に備えることができ、さらに解約手当金を受け取る時期をある程度、自分で調整できるところがメリットです。
中小機構 経営セーフティ共済中小企業経営強化税制・中小企業投資促進税制
中小企業経営強化税制と中小企業投資促進税制は、どちらも中小企業の生産力向上のための設備投資を後押しする制度です。今後、改正があるかもしれませんが、現時点ではどちらも令和5年3月31日までが指定期間となっています。どちらも、要件にあてはまると特別償却または税額控除のいずれかを選択することができます。
中小企業経営強化税制では、中小企業の稼ぐ力を向上させる取り組みを支援を目的としており、中小企業等経営強化法の認定を受けた計画に基づく投資について、即時償却または7%~10%の税額控除(上限あり)のいずれかが適用可能です。メリットは大きいですが、経営力向上計画の認定を受ける必要があり注意が必要です。中小企業投資促進税制では、中小企業における生産性向上などを目的としており、一定の設備投資を行った場合に30%の特別償却または7%の税額控除のいずれかが適用可能です。