Management Column脱税等の問題に会計事務所はどう対応するか
先日報道された吉本興行のお笑いコンビであるチュートリアル徳井氏の税金無申告問題には、注目していた会計事務所職員の方も多いのではないでしょうか?今回のように脱税問題が大きく報道されると「税金を払わないと大問題になりますよ」というように、クライアントへの指導がしやすくなりますよね。
今回は報道をもとに、脱税・節税・会計事務所の対応について考察していきます。
脱税と節税の違い
税金は、法人税法、所得税法、地方税法等、多くの法律で、計算方法や納付について細かく規定されています。脱税は、法律を無視して税金逃れをすることです。これに対して節税は、法律の範囲内で、より納税者に有利な規定を適用して、税金を少なくすることです。
複雑な法律を理解して適用し、いかに税金を少なくするかは税理士の腕の見せ所といえるでしょう。これとともに、クライアントに正しい納税をするように指導するのも税理士の仕事といえますね。
税金を納付しないことのペナルティ
正しく申告して税金を納付しないと、様々なペナルティが課され、結果として余分に税金を納付しなければならなくなってしまいます。ペナルティとしての税金には、延滞税・過少申告加算税・無申告加算税・重加算税・不納付加算税があります。特に重加算税は、事実を隠蔽する等の悪質な行為で意図的に税金を少なくした場合に発生し、35%~40%の税率で加算されます。
今回のチュートリアル徳井氏も、報道によると、7年間遡り、約1億2000万円の所得隠しと申告漏れがあり、重加算税等を含めて約3400万円を追徴課税されていたということです。脱税は、追徴課税につながるだけでなく、社会的地位にも大きく影響するリスクが高い行為だといえます。
会計事務所の対応
会計事務所で働く職員の方や、税理士としてクライアントの指導を行っている方は、今回の報道をどのように感じたでしょうか?記者やコメンテーターの見解の中には、税金についての知識が薄いことが理由だと思われますが、的はずれな言葉も目立ちました。これは、会計に専門的に携わっている人以外の、税金の知識の薄さを物語っています。会計事務所としては「的はずれだなあ」と思うだけでなく、一般の人には税金の知識が少ないということを念頭において、クライアントの指導にあたっていかなければなりません。
正しい申告をするには、まずは正しい会計と税金の知識が必要です。また、期限後申告・無申告にならないように定期的にスケジュール表を見直す作業も大切です。スケジュールに基づいてクライアントに資料を請求しても、クライアントの反応が少ないことはよくあると思いますが、ときには税金を納付しないことのペナルティについて説明するのも良い方法です。