Management Column税務署はどうやって情報収集してる?
会計事務所では、年末調整も佳境を迎えていることと思います。特に、年内還付のクライアントを抱えている担当者は、年末調整の最終局面ですが、ミスのないように慎重に業務を進めていきたいですね。
年末調整も税務署では、扶養対象者の収入等を定期的にチェックしており、時には問合せや調査が入ることもあります。税務署は、どのようにして法人税・所得税をはじめとする各種税金が正しく申告されているかどうか、チェックするのでしょうか?今回は、税務署が情報を得る手段についてまとめました。繁忙期は税務調査も少ないことが通常ですが、繁忙期を過ぎると税務調査も増えてきますので、今から心がまえをしておきましょう。
実地調査等で得た各種資料
源泉徴収票や支払調書は、年末調整では欠かせない書類となります。各種申告書や、会社が任意で提出する「資料せん」等、税務署では多くの書類を取り扱います。支払調書を例にあげると、会社が税務署に支払調書を提出した場合、報酬等の受け取り側では売上の計上があるはずです。もし、受け取り側で売上の計上がない申告がされていた場合、税務署では調査対象としてピックアップすることになります。
また、税務署が実際に税務調査を行った場合、売上や仕入れ等の各種資料の提出を求めます。実地調査で得たこれらの資料が、税務調査対象の会社を調査するために使われることはもちろんですが、資料にある売上先や仕入れ先を調べるためにも使われ、反面調査と呼ばれています。売上が少なく利益も出ていない会社が調査対象になるとき、実は税務署が反面調査をしたい場合であることも考えられます。会計事務所では、取引先を行っている会社がどちらもクライアントであるケースも多いのですが、このような場合は両者の取引で矛盾のないような経理処理が行われているかもチェックしておく必要があります。
メディアやインターネット上の情報
税務署は、メディアやインターネット上の情報のチェックもしています。例えば、インターネット上で評判の飲食店が、売上の計上が少なければ、税務署が不審に思い、調査対象としてピックアップすることになります。収賄等の事件があった場合にも、同時に脱税の調査が行われることも多いですね。
気をつけたいのが、ブログ等での情報発信です。会計事務所では、クライアントが提出した資料をもとに会計処理・申告書の作成を行いますが、クライアントが会計事務所に報告していない事をブログで発信している場合は要注意です。実際にも、ブログが元で税務調査が入ってしまったケースがありますので、クライアントがブログ等を持っている場合、できれば会計事務所でも、日ごろからチェックしておきたいところです。
内部告発や退職者からの通報
社会保険の調査では、退職者からの通報があった場合に調査が入る場合がありますが、税務署の調査でも同じように、内部の従業員や退職者からの通報により調査が入るケースも多いのです。
会社に不満があり退職をする人は、会社で不正な会計処理等を行っていると疑っていれば、税務著に通報する可能性が高くなります。また、相続では遺産分割に不満のある相続人が、通報するケースがあります。
いずれにせよ、日ごろから適法な会計処理・申告がなされていれば問題ありませんが、できれば通報による税務調査は避けたいものです。円満な人間関係も、税務調査を少なくする秘訣かもしれませんね。