Management Column新型コロナウイルス感染拡大に伴う確定申告期限影響と資金繰り対策
新型コロナウイルスの感染拡大の影響が懸念されています。健康への影響はもちろん、経済や生活全般への影響もはかりしれません。政府の対応も日々変化し、安倍首相の言動に注目が集まっています。
今回は、現時点で分かっている会計事務所に関連のある政府の新型コロナ対策についてまとめました。
確定申告期限の延長
以前より国税庁は、新型コロナ対策として確定申告会場での手洗い・マスク着用・アルコール消毒液の利用の協力を要請し、パソコン・スマートフォンを利用したe-taxでの申告を呼び掛けていました。今回、新型コロナ感染拡大による政府の意向を受け、異例の確定申告期限の延長を決定しました。多くの人が集まる確定申告会場の混雑防止が主な目的だと考えられますが、学校の休校やテレワーク推奨等で思うように仕事が進められない会計事務所にとっても、助かる措置だといえるでしょう。無理のないスケジュールで仕事を進めることが可能となります。
具体的には、全国一律で、令和元年度分の申告所得税・復興特別所得税・個人事業者の消費税・贈与税の申告期限が、2020年4月16日(木)まで延長されます。
国税庁 確定申告期限の延長雇用調整助成金の特例
雇用調整助成金は従来からあるもので、経済上の理由により事業縮小をせざるを得なくなった事業主のために、休業や教育訓練等を実施することで雇用維持をした場合、休業手当・賃金等の一部を助成する制度です。今回の新型コロナ感染拡大で影響を受けた事業所が活用しやすいよう、特例制度が設けられました。
新型コロナウイルス感染の影響を受ける事業主を対象としており、休業等の初日が、2020年1月24日から2020年7月23日までの場合に適用することができます。事前に必要であった休業等計画届も、2020年5月31日までに提出すれば、休業等の前に提出されたとされます。対象労働者1人1日当たり 8,330円を上限とし、休業を実施した場合の休業手当等を大企業は1/2、中小企業は2/3、受給することが可能です。具体的な適用要件等は、厚生労働省のWebサイトで確認できます。
厚生労働省 新型コロナウイルス感染影響に伴う雇用調整助成金の特例対象拡大新型コロナ拡大に伴う資金繰り対策
中小企業庁では、従来からあるセーフティネット保証制度の中で、新型コロナに関係する中小企業者対策を実施しています。都道府県によっては、セーフティネットと別枠で融資制度を設けているところもあります。
また、日本政策金融公庫では、新型コロナウイルスに関連する相談窓口を設け、中小企業等の融資や返済の相談を受けています。「新型コロナウイルス感染症にかかる衛生環境激変特別貸付」等、利用しやすい融資制度を紹介してくれます。
今回の新型コロナウイルス感染拡大は、世界にとっての大打撃ですが、さまざまな制度を利用し、中小企業が生き延びることも重要です。影響がどのくらい続くのか、影響の規模はどのくらいに及ぶのか、先が見えない不安の中、会計事務所はクライアントと知恵を出しあい、困難を乗り越えていくことが使命といえます。クライアントは、経営危機について相談できる味方がいると感じることで、新型コロナ感染症拡大という通常とは違った環境の中で、経営への意欲を持ち続けることができるのではないでしょうか。