Management Column緊急事態宣言の会計事務所への影響
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、安倍首相が緊急事態宣言を行いました。対象は東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県ですが、他県にも大きく影響すると考えられます。人と人との接触を7~8割削減することを目指すもので、企業活動にも大きく影響します。感染拡大が防止されなければ事態はさらに悪化していくことを考えると、一時的に企業活動をストップさせてでも、一刻も早く感染拡大を防止すべきです。
過去に前例のない事態であるため、どのような対応が正しいのか判断するのは難しいですが、感染拡大防止に協力しながら、柔軟な対応をしていくことが求められています。
税制上の措置には何があるか
コロナウイルス感染拡大の影響を受け、税制上も様々な措置がとられています。
- 確定申告期限について
- 確定申告時期が4月16日(木)まで延長されていましたが、感染拡大により外出を控える等の対応が求められているため、申告が困難な人は、4月17日以降であっても柔軟に確定申告の受け付けをしてくれます。来署可能になった時点、申告書作成可能な時点で申告すればよいため、事実上、無期限の延長といえるでしょう。延長の方法は、申告書を提出する際に、右上の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延⻑申請」と記載する方法であるため、事前に申請書等を提出する必要はありません。
- 納税猶予
- 新型コロナウイルス感染症の影響により、国税を一時的に納付することができない場合には、要件を満たせば申請により、納税猶予が可能となります。要件や申請方法については、こちらのリーフレットに詳しく記載されています。
- その他の税制上の措置
- その他にも、欠損金の繰り戻しによる還付の特例、テレワーク等のための中小企業設備投資税制等、様々な措置が緊急経済対策として考案され、4月7日に閣議決定されています。詳細な内容は、こちらで確認してください。
雇用の維持と事業継続のための施策
政府は、緊急経済対策として、事業規模の総額で108兆円程度の緊急経済対策を決定しました。
雇用の維持に向けて、4月~6月末まで雇用調整助成金を拡充し、助成率が、中小企業では3分の2から5分の4、大企業では2分の1から3分の2に引き上げられます。解雇を行わない場合には、中小企業で10分の9、大企業では4分の3まで引き上げられます。加入期間が短い新入社員や、非正規労働者も対象となります。
資金繰り対策として、融資枠が拡大されます。また、民間でも無利子の融資が行われます。融資に関しては、かなり柔軟な対応がとられているようなので、資金繰りにお悩みの方は、金融機関に相談してみてはいかがでしょうか?
さらに事業者向けに、フリーランスを含む個人事業主に最大100万円、中小企業・小規模事業者に最大200万円の現金支給が予定されています。対象は、外出自粛や需要減少で申告な影響を受けている事業主で、申請は原則としてネットを通じて行うことが予定されています。
緊急事態宣言と休業要請
新型コロナウイルス感染拡大により、世界経済は大きく影響を受けています。日本では、緊急事態宣言に伴い感染拡大防止・雇用維持・事業継続が可能となれば、一時的な悪影響を乗り越えることができると期待されています。
会計事務所は、情報の取扱いに注意することで比較的テレワークが可能な業種といえます。しかし、クライアントにはイベント業、飲食業等、新型コロナウイルスの影響が大きい業種もあります。東京都では休業要請の対象となる業種について、調整を行い10日に公表されるとのことです。会計事務所の売上には直接的に影響を受けることは少なくても、クライアントの売上減少は会計事務所の利益にも影響してくることが考えられます。クライアント支えながら事業継続していくことが、会計事務所の課題となっていくといえるでしょう。
税理士会では、事業者支援情報の掲載を行っていますので、参考にしてください。