Management Column緊急事態宣言の延長と新しい生活様式
3月決算のクライアントを多く抱える会計事務所にとっては、5月は繁忙期です。今年は、新型コロナの影響による外出自粛・学校の休み・テレワークの中、業務を行わなければならず、「資金繰り相談の電話が多く、通常業務が進まない」「ゴールデンウィークに休めなかった」という会計事務所も多いようです。
今回のゴールデンウィークの大きなニュースとして、「緊急事態宣言の延長」がありました。この延長が経営・会計に及ぼす影響について考えていきます。
緊急事態宣言の延長が経営に及ぼす影響
緊急事態宣言が、1か月程度延長されました。感染者数の減少幅が当初の見込みより少ないため、緊急事態宣言を解除するわけにはいかないという判断です。確かに、感染の危険を考えると自粛もやむを得ないのですが、経営への影響ははかり知れません。ゴールデンウィーク明けまでと考えていた自粛期間が、さらに延長されたため、特に飲食業・イベント業・旅館業等の影響が大きい業界では、当初の持続化給付金等のみでは、経営継続が難しくなる場合もあるでしょう。
緊急事態宣言解除後も、新型コロナ感染の危険を考えると、以前と同じ仕事・生活に戻ることができる可能性は低く、いかに新しい環境に適応して生き延びていくかが、経営の大きな課題です。例えば、飲食業のテイクアウト需要等、業態を変えることにより売上の確保が可能となる場合もあります。業態転換のための助成金制度もありますので、参考にしてください。
東京都中小企業振興公社 業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業会計・経理業界への影響
会計・経理業界は、他の業界に比べるとテレワークがしやすいため、業務への影響を最小限にしやすい業界といえるでしょう。しかし、自粛の影響で、株主総会の開催・集計作業等が滞り、決算・申告業務に影響が出始めています。
金融庁では、3月決算の有価証券報告書の提出期限を、一律で通常より3か月遅い9月末に延長しました。税務でも、納税猶予の手続きが簡単にできるようになっています。助成金・給付金・借入の手続き支援等、会計・経理が必要とされる場面が増えています。まずは、会計・経理に携わる者が感染をしないように努め、そのうえで、事業者の相談役・バックオフィスとしての役割が求められています。
新しい生活様式
専門家会議で、長丁場に備えた「新しい生活様式」が提言され、具体的な実践例が示されました。その内容は、感染防止対策が基本となっています。例えば、食事では「料理に集中 おしゃべりは控えめに」という項目が提言されており、以前の生活のような接待を中心とした営業は難しい環境となりそうです。働き方でも、テレワーク・ローテーション勤務・オンライン会議が提言されています。
緊急事態宣言が解除されたとしても、感染拡大の予防を続けることが必須となり、生活・仕事の全ての面において、変化していくことになります。人との対面・密集・移動の少ない社会をどのように実現していけばよいのか、今後も模索が続くことになりそうです。
NHK 専門家会議「新しい生活様式」の実践例