Management Columnウィズコロナと会計事務所
新型コロナ感染症の緊急事態宣言は解除されましたが、東京では6月2日の夜、はじめての「東京アラート」が出されました。休業要請は出されていないものの、3密を避ける等の新しい日常の実践が求められています。
感染症防止を優先すれば経済が滞り、経済を優先すれば感染症が拡大するという環境の中で、いつ休業要請が出されるかハラハラしながら経済活動を行うのは大変なことです。新型コロナと共に経済活動を行っていかなければならない現在、会計事務所ではどのように対応したらよいのか考えてみました。
まずは会計事務所で3密を避ける
新型コロナ感染症を予防するには、まずは3密を避ける等の新しい日常を実践することが大切になります。出勤は、テレワークの利用・時差出勤・自転車や車での出勤を今後も続けながら、出勤時には原則としてマスクを着用し、座席間隔を空ける等の工夫を取り入れましょう。夏場は冷房を利用することになりますが、換気を行うために、チェック表を作成して、換気を行った時間に印をつけていくとよいのではないでしょうか?
クライアントの面談にも、様々な工夫が可能です。個室を設け、飛沫防止シートごしに面談し、消毒を徹底することで、クライアントに来所してもらうことができるでしょう。巡回監査は、郵送・電話・FAX・メールの他、チャットワーク・スカイプ・ZOOMといったテレワーク技術を活用することで代替できます。様々な業種のクライアントとかかわる会計事務所だからこそ、率先して、3密を避けるにはどうしたらよいかを実践していくべきでしょう。
緊急事態やアラートに備える
緊急事態宣言やアラートが発動されるたびに、対応を考えていたのでは、通常業務をこなしていくのは大変です。新型コロナ感染症の影響を考慮し、申告や納税猶予の新制度ができましたが、助成金や給付金の申請のために収入減少を証明しなければならない場合もありますし、何より、会計事務所としてはどのような事態であろうと、しっかりと期日までに申告をこなしていきたいものです。
休業要請がなくても、例えば地域的に新型コロナ感染症が拡大すれば、自粛を行わざるを得ません。緊急事態宣言やアラートが発動されたときの対応を、マニュアルにしておくことをおすすめします。今後の季節に予想される水害や、最近増加している地震等、併せて災害時のマニュアルも作成しておくとよいですね。
経済が低迷すると何が起こるか
先日、税理士事務所の元職員が詐欺の疑いで逮捕されました。会計事務所は信頼が命ともいえるので、業界全体にも影響を与える事件といえるのではないでしょうか?新型コロナとは関係がない事件かもしれませんが、経済が低迷すると、治安は悪化する傾向にあります。会計事務所では、職員の教育を徹底し、お互いにチェックしあい、税理士がしっかりと監督することを心がけたいものです。また、自分の事務所だけでなく、クライアントの経理業務での横領防止や物理的な防犯体制についても、アドバイスできるとよいですね。
今までより売上が減少し、これが続くと、会計事務所の報酬にも影響してきます。今でも、税理士業界では、持続化給付金の申請には報酬をなるべくとらない方針等を打ち出しており、仕事が報酬につながらないケースが増えています。会計事務所の報酬を維持するために、是非ともクライアントには売上アップを目指してもらわないとなりません。3密を避ける時代であるからこそ、会計・税務業務を基本としつつ、積極的にクライアントに情報提供する等、心を密にしてモチベーションアップが可能となる会計事務所を目指すべきといえるでしょう。