Management Column会計事務所における新型コロナの業務リスク~2020年を振り返る
2020年は、新型コロナ感染症の対応におわれた年でした。会計事務所にとっても、感染予防対策・クライアントの給付金支援・新たな税制への対応・テレワークの確立等、普段とは違う多くの業務が発生しました。
今回は、会計事務所における新型コロナのリスクとその対応について、考えていきます。この時期の会計事務所は、年末調整の真っ最中です。新型コロナ感染症感染拡大の心配と忙しさで、感染予防や業務がおろそかになってしまうと、後から業務に支障が出てしまうこともあります。この1年を通じて学んできたことをいかし、2021年度に備えていきましょう。
テレワークによる申告書作成ミス増加
紙ベースの業務をデジタル化していくことは、新型コロナ感染症の心配がなくても、今後の経済社会で必須の課題であるといえます。紙ベースでプリントアウトし最終チェックを行ったり、紙ベースの原始証憑に付箋をはって手書きでメモしたりする手法で業務を進めてきた会計事務所も多く、テレワークに対応しきれない会計事務所もあります。
新型コロナ感染症対策としてテレワークを導入した結果、自宅の小さな画面のパソコンで、会計ソフトやエクセルシートのウィンドウを開くことになり、紙ベースでの確認が行いづらくなって、今までミスがなかった担当者でもミスが増えたという話を聞くことがあります。
これに対応するためには、申告書の作成やレビューの段階でチェックシートを活用していくことが有効です。エクセル等でチェックできるファイルを作成し、担当者が作成したチェック表を、レビュー者が確認しながらレビューしていけば、効率もあがるのではないでしょうか?
コミュニュケーション不足は上司の声かけで解消する
一般的にテレワークでは、コミュニュケーション不足により担当者の孤独感が増すといわれています。会計事務所のテレワークでも、Webカメラ等を導入したとしても、事務所内で業務していたときと比べ、気軽に話かけづらいという現状があります。
テレワーク時に、上司が積極的にテレワークをしている担当者に連絡をとることで、業務へのモチベーションがアップしたとの報告があります。「調子はどう?」といった感じで、用事がなくても連絡があり、面倒に思う反面、今までより気軽に上司に相談や確認ができるようになったそうです。確かに、普段は忙しそうで声をかけづらい上司が、自ら連絡をしてきてくれることで、今までよりコミュニュケーションが増えてモチベーションがあがりそうですね。
税理士職業賠償責任保険の活用
新型コロナ感染症拡大により、税理士は、職員だけでなくクライアントとのコミュニュケーションも不足しがちになっています。信頼関係を構築するには、業務だけでなくコミュニュケーションを積極的に行うことが大切です。訪問を行えない場合には、電話やWebで積極的に連絡を取っていきましょう。
あってはいけないことですが、業務上のミスが発生し、クライアントの信頼関係も薄れていると、訴訟問題に発展する可能性があります。日税連には税理士職業賠償保険制度があるので、事前に加入しておくのも、リスク対応として有効です。
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