Management Column申告を訂正できる場合とできない場合
今回の確定申告は期限が延長されたとはいえ、本来の期日である3月15日を目標にしている会計事務所も多いと思います。繁忙期でのトラブルで多いのは、申告ミスですよね。申告ミスがあっても、その修正が可能で税金が安くなるのであれば、心の負担は軽いのですが、税金が高くなるとなれば、クライアントへの説明で心が重くなってしまいます。できるだけミスのない申告を目指したいところです。
もし申告ミスがあった場合、修正は可能なのか、修正するにはどのような方法があるのかについてまとめました。頭に入れておき、もし申告ミスがあった場合でも、冷静に対応ができるようにしておくとよいですね。
期限内は訂正申告が可能
申告の期限内であれば、もう一度、申告書を提出することにより、訂正申告をすることができます。電子申告であれば、送信しなおすことで、訂正されたことになります。書類ベースで提出する場合には、既に提出した添付書類については、控えのコピーを添付し、表題の余白に「訂正申告」と赤字で明記します。
ただし、還付の場合、期限内であっても、税務署で既に還付処理が行われてしまった後は訂正できませんので、更正の請求か修正申告が必要になります。還付の場合には、訂正申告を行う前に、税務署に還付処理が終わっているかどうかを問い合わせるとよいでしょう。
税額が少なすぎた・還付が多すぎた場合には修正申告
期限後に、少なすぎる税額や多すぎる還付額を修正したい場合に行うのは、修正申告です。税務調査があった場合には修正申告が必要なことが多いため、作成したことがある方も多いのではないでしょうか? 修正申告を行う場合は、期限後ですので延滞税が加算されることになります。延滞税は、納期限の翌日から2月を経過する日までは、原則として年7.3%、以降は原則14.6%です。年によって変わり、国税庁のWebサイトで確認することができます。延滞税の納期限は、申告書を提出した日です。
税務署の調査を受けた場合等では、場合によっては延滞税のほか、ペナルティとして過少申告加算税が課される場合があります。さらに、税務署が悪質と判断した場合には重加算税、申告自体がなかった場合には無申告加算税が課される可能性があります。ミスを発見したら、税務署の調査を待たずに、できるだけ早く修正することが大切です。
税額が多すぎた・還付が少なすぎた場合には更正の請求
期限後に、多すぎる税額や少なすぎる還付額を修正したい場合に行うのは、更正の請求です。更正の請求は、申告期限から5年以内と定められおり、5年を過ぎると請求を行うことができなくなるので、注意が必要です。
更正の請求を行うと、税務署で審査があり、税務署で妥当なものだと認めた場合にのみ受理されます。
修正申告や更正の請求を行うことができないケースがある
もし申告にミスがあっても、修正申告や更正の請求で修正が可能と思っていると、思わぬ落とし穴があります。これらの制度は、間違った申告に対応するための制度だからです。複数の正しい選択可能な方法がある場合には、訂正をすることができません。
税額が高くなる方法を選択してしまった後に、税額が安くなる方法があることがわかり、選択しなおしたい場合には、修正申告や更正の請求で修正することができません。また、申告分離課税・総合課税等の選択で、税額自体が変わらなくても、総所得金額等や合計所得金額が変わる結果、各種控除対象に入るかどうか・住民税額・国民健康保険料等に影響がある場合があり、後から申告方法を変えたくても変えることができません。
適法な申告であっても、選択可能な方法が複数用意されている場合には、慎重に選択する必要があることを頭にいれておきましょう。