Management Columnクライアントから高評価の会計事務所の特徴
コロナ禍で中小企業の資金繰りが悪化して倒産につながると、会計事務所間の競争が激しくなることになります。会計事務所は比較的安定した業種ではありますが、クライアントが倒産するとまではいかなくても、報酬の引き下げの打診が増えるなど、景気に左右される側面は否定できません。
会計事務所スタッフとしては、長くつきあいのあるクライアントの経営状態が悪化すると、会計事務所の利益が下がるという経済的心配だけでなく、心情的にも、がんばって経営を立て直してほしいという気持ちになります。会計事務所とクライアントは二人三脚の関係といわれる理由ともいえますね。
今回は、クライアントから高い信頼を得ている会計事務所の特徴についてまとめました。クライアントにとって、信頼できる会計事務所がパートナーであることは、安心して経営に専念できることにつながります。
ミスのない会計帳簿・税務申告
クライアントが税理士に依頼する一番の理由は、税務申告をしてもらうことであるため、通常業務でのミスや税務調査での指摘が多いと、クライアントの信頼を失い、会計事務所としての責任問題にもつながります。どんなにスタッフの人柄がよくても、会計・税務でミスのある会計事務所は信頼してもらえません。
クライアントからの信頼性の高い会計事務所の多くは、ミスのない会計帳簿作成・税務申告を行うために、二重・三重のチェックを実施しています。また、ミスが発生してしまった場合には、正直に、ミスの発生と対応をクライアントに報告しています。
チェックをする際には、漏れのないようにチェック表を作成することがおすすめです。時間や人手が足りない場合には、税務判断や税額に大きく影響する部分のチェックだけは必ず行う、他の会計事務所と提携してチェックを行ってもらう等の工夫をし、ミスのない会計・税務を目指しましょう。
会計・税務・法律に詳しく実務経験が多い
会計事務所であれば、会計・税務に詳しいのは当たり前で、法律についても、専門的な部分は弁護士に任せるとしても、ある程度詳しいのが会計事務所や税理士の在り方といえるでしょう。とはいっても、税法の分野は広く、税理士にも専門分野があったり、調べないと答えられないことも多いのが現状です。
まずは、会計・税務・法律について、疑問に思ったことはすぐに調べ、改正等の情報入手に努めることが大切です。しかし、どんなに努力をしたとしても、すべての会計・税務・法律に精通するのは困難です。対応できない場合には、提携会計事務所・専門家・ネットワークを利用し、協力しあうのも1つの方法です。
会計・税務・法律の知識を高めることは、ミスなく会計・税務処理ができることにつながります。また、クライアントからの質問に、法律的な根拠をもとにして適切に答えることができ、信頼性の向上につながります。クライアントからの質問に答えられない場合には、いい加減な答えを出すのではなく、いったん保留にして調べてから、適切な答えを出すのがよいでしょう。
誠実な人柄
クライアントは、税理士に経済状況をオープンにしなければならないため、税理士にはクライアントのことを第一に考えてくれる誠実な人柄を求めています。しかし、ニュース等で話題になるのは、脱税やほんの一握りの悪徳税理士ばかりで、世間一般の税理士に対するイメージは、必ずしもよいとは限りません。会計事務所や税理士は、信頼性を高めるためには、実際に誠実であるだけでなく、積極的に誠実であることを印象付ける努力が必要かもしれません。
現実に、信頼性の高い会計事務所のスタッフには、以下のような特徴があるようですので、参考にしてみてください。
- TPOにあわせた清潔な服装で仕事を行う。
- 経営者にも従業員にも、裏表なく丁寧な態度で会話を行う。
- 個人情報・企業機密等の保持に気を使っている。
- 親身になって、話をよく聞いてくれる。
- 打ち合わせの際には、事前にしっかりとした資料を用意している。
- 必要があれば、他の専門家を紹介してくれる。
- 相談を行うと、数日中に必ず返答をしてくれる。