Management Columnインボイス制度で中小企業が準備すべきこと
衆議院総選挙も終わり、新型コロナの新規感染者数も今のところ落ち着いています。会計事務所では、ほっと一息と落ち着くひまもなく、年末に向けて繁忙期がやってきます。
本格的な繁忙期がはじまる前に、対応しておきたいものとしてインボイス制度への準備があります。令和3年10月1日からインボイス制度の登録受付が開始されており、国税庁でも10月1日より公表ページをリニューアルしています。今回は、インボイス制度にむけて、中小企業が準備しなければならない事項についてまとめました。
請求書の変更
インボイス制度のもとでは、自社が発行する請求書を、インボイス制度での要件を満たす適格請求書(インボイス)へと変更する必要があります。インボイス制度の請求書の要件とは、以下の項目が記載されている請求書のことをいいます。
- 1.適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
- 2.取引年月日
- 3.取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
- 4.税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
- 5.消費税額等(端数処理は一請求書当たり、税率ごとに1回ずつ)
- 6.書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
今までの請求書から変更しなければならない点は、登録番号と消費税額等ではないでしょうか。登録番号は、登録申請書を提出して登録を受けなければ付与されません。また、消費税額等の端数計算で、今まで異なる方法で端数処理をしていた場合には計算を変更する必要があります。請求書作成ソフトやエクセルなどで消費税計算を自動で行っている場合、計算式を見直す必要があります。
登録申請書の提出
各企業の請求書のフォームを変更するためには、登録番号が必須となりますが、登録申請書を提出して登録を受けないと、登録番号が分かりません。早めの準備をしたい場合には、早めの登録をするとよいでしょう。
適格請求書発行事業者として登録されると、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトでその事業者の情報を公表され、登録番号から検索可能となります。このサイトは、取引先から請求書などを受け取った場合に、記載されている番号が登録番号であるかどうか、その登録番号が取引時点において有効なものかどうかを確認することを目的しており、登録番号でのみの検索しかすることはできない仕組みとなっています。
登録申請をする場合の注意点
免税事業者でも、課税事業者となり適格請求書発行事業者として登録をするほうが、事業を行う上で不利益を受けることが少ないと判断するケースも増えてくることが予想されます。
免税事業者がインボイス制度が本格的にスタートする令和5年10月1日の属する課税期間中に登録を受けることとなった場合には、登録日から課税事業者となる経過措置が設けられています。この経過措置の適用を受けることとなる場合は、登録日から課税事業者となり、登録を受けるに当たり課税選択届出書を提出する必要はありませんが、登録日から課税事業者となるため、基準期間の課税売上高にかかわらず、登録日から課税期間末日までの期間について、消費税の申告が必要となります。
また、適格請求書発行事業者として登録をしようとする場合、消費税法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられると、2年経過するまでは登録が拒否されますので注意が必要です。