Management Column確定申告に備えて12月中にできる対策
12月は師走ともよばれ、会計事務所だけでなく社会全体が忙しい時期です。新型コロナウイルスの新しい変異株が出現していますが、なんとか流行することなく終わってほしいものですね。
年末調整が終わると、償却資産の申告が続き、3月には確定申告となります。確定申告の計算期間は1月1日から12月31日までですので、税金について何か対策をしなければならないと考えている方にとっては最後の月となります。確定申告の予定があって税金に悩むクライアントにアドバイスができることがあるか、考えてみるのもよいですね。
概算の税金を計算する
確定申告では、個人事業主の決算は12月31日ですので、最終的な利益の計算はその前にすることはできません。しかし、10月末時点、11月末時点までの資料、昨年の1月から12月までの資料があれば、12月中に昨年と大きな変化がないことを前提として、シミュレートにより概算の利益を算出することができます。概算の利益を算出することができれば、税金も概算で算出することができます。
利益が出ていて税金が高くなりそうな場合には、何か対策がないか検討することができますし、赤字で利益が出そうになく税金も少なくてすみそうであれば、特に対策を検討しなくてもよいことになります。確定申告の税金対策をするには、まずは今までの資料から概算の利益と税金を算出することが大切です。これを行っておくと、確定申告で忙しい時期になっても、確定申告用の資料がきちんと整理され、概算の利益を算出した時点までの帳簿がしっかり入力されていることになり、手間が省けるというメリットもあります。
12月中に経費を増やすには
12月中に個人事業主が行うことのできる税金対策には何があるでしょうか。
考えられる一つの方法として、経費を増やすことがあげられます。しかし、必要のない支出をすることは無駄遣いとなります。必要のない支出をすると、その支出分のお金がなくなりますが、支出をしなければ税金分の支出ですみますので、税金が増えるとしても必要のない支出はするべきではありません。
もし、経費を増やしたいのであれば、1月や2月に購入しようと考えていた少額の備品を、前倒しで購入するという方法があります。その分、来年の経費が少なくなり、通年を通して考えると結果的には同じとなりますが、少なくとも今年の税金を少なくすることができます。他には、利益が出ているのはスタッフの働きによることを考えると、ボーナスを増やす方法もよいかもしれません。
その他の対策
個人事業主が行うことができる税金対策として、小規模企業共済への加入があります。この掛金は、確定申告では、小規模企業共済等掛金控除として支払った金額の全額が所得控除の対象になります。掛金は年払いをすることも可能です。ただし、手続きの期間が必要となりますので、12月中に支払いをするためには早めの手続きが必要です。
ふるさと納税は、地方自治体への支援を行うことで寄附金控除を受けることができる制度で、返礼品がもらえるのが魅力ですが、過度な返礼品が禁止されており、「所得税を減らして地方自治体への寄付を行う結果、特典がもらえる」という認識が妥当といえるのではないでしょうか。
クライアントには、どのような控除項目があるのかの専門知識がありません。会計事務所としては、まずはクライアントの状況をしっかり把握し、控除できるものについて漏れがないように気をつけることが、一番大切です。