Management Column中小企業でもできる内部統制構築
会計事務所では、税務申告代理や記帳代行を主な業務としています。記帳代行は行わず、会社が行った経理をチェックするケースも多いですね。会社が行う経理が信頼できない場合には、細かくチェックしていかなければなりませんし、訂正にも時間がかかります。しかし、会社のシステムがしっかりしていれば、このチェックが短時間ですみ、訂正すべき箇所も少なくてすみます。
今回は、会社の行う経理に信頼性を持たせるための方法として、内部統制についてまとめました。中小企業であっても、できるかぎり内部統制を構築することで、会社の成長発展にもつながります。クライアントへのアドバイスの際に、参考にしてください。
内部統制とは
内部統制とは、会社が事業活動を健全に行っていくための内部けん制の仕組みのことをいいます。会社内部には多くのルールがありますが、これらの仕組みすべてが内部統制といえます。
たとえば、接待交際費に該当する飲食費について会社経費とするとなると、上司や経営者の承認が必要であるというルールがあるとします。この承認を得られた領収証を精算し会社経費とすることになりますが、この承認が内部統制となります。このルールにより、会社の業務として行う接待にかかる飲食費のみが経費となり、プライベートな飲食費を経費としようとしても上司の承認が得られず経費とできません。この結果、会社の適切な運営が可能となります。 会計についても、適切な内部統制を構築することにより、不正やミスを減少することが可能となります。上場会社などの監査では、内部統制のチェックを重視し、内部統制が構築されていることを前提に効率的な監査を行っていきます。
中小企業で行うべき内部統制
- (1)分業を行う
- ある業務について複数の担当者が分担し分業を行うことで、不正やミスの発見・防止につながります。会計・経理についても、出納業務と記帳業務の担当者が分かれていれば、プライベートな支出を会社経費として処理づらくなります。
- (2)ダブルチェック体制
- 人為的なミスを減らすためには、ダブルチェック体制が有効です。これは通常、会計事務所内部で行われていることと思いますが、クライアントが行う経理をダブルチェック体制にしてもらうことで、さらにミスを減らすことができます。
- (3)実査・管理表作成・連番管理
- 中小企業ではスタッフ不足などの理由で、会計や経理については会計事務所任せというケースも多いと思いますが、現金出納帳と残高を毎日、突き合わせる実査を行ってもらうだけで、不明な現金の入出金を減らすことができますし、税務調査があった際にも印象がよくなります。切手や収入印紙などの管理表作成、領収証の連番管理を意識的に行ってもらうことも大切です。
内部統制の弱点
内部統制は、あくまで経営者が社内に構築するルールです。したがって内部統制は、経営者自身の不正には機能しないという弱点があります。
たとえば、経営者自身が、プライベートな支出を接待交際費と言って領収書を経理に渡したら、会社経費として処理されてしまいます。会計事務所においても、経営者の主張にもとづいて記帳を行うため、経営者自身の不正に対しては対処しづらいところです。
税務調査で疑問を持たれるような領収書などは、経営者に伝えることが必要です。業務とプライベートを混同しがちな経営者に対しては、普段のコミュニュケーションの中で、経営者の意識改革をしていくことも必要となるでしょう。