Management Column分かりやすい決算書説明のコツ
会計事務所のスタッフは、日常的に決算書・申告書・帳簿を見慣れています。しかし、これをクライアントに見せて説明するのは一苦労と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
経営者は、数字に強い方ばかりではありません。中には、数字関係は会計事務所に任せているので安心だと思っている方もいるでしょう。会計事務所のスタッフとしては、経営者の方には数字の意味を理解してもらい経営判断に役立ててほしいところです。今回は、クライアントに決算書などを提出する際の説明として、どのような説明をすると経営者の興味を持ってくれるのかをまとめましたので、クライアント訪問の際の参考にしてください。
決算書の関係に注目する
会計事務所の担当者が、決算ごとにクライアントを訪問している場合には、経営者は損益計算書・貸借対照表・申告書があるということはご存知だと思います。また、各項目の意味も、どの支出がどの勘定科目に入るかという細目までは分からなくても、おおよそは理解しているのではないでしょうか。それでも経営者が決算書類に興味を持てないのは、各項目の関係や各決算書同士の関係があまり理解できていない可能性があります。
例えば、売上が増加して利益が出た場合に経費や税金がどのように増えているか、余剰資金を設備投資にあてることができそうなのかどうなのかなど、1つの書類上だけではなく複数の書類にまたがって説明をすることで、より決算書に対する理解が深まると思われます。
過年度比較、将来予測をグラフで示す
決算書は現在の状態を表すものですので、経営者にとっては既に終わったことであり、報告を受けているだけと感じるケースも多いでしょう。経営者に興味があることは、今後の経営だといえます。
過年度比較や将来予測の決算書は、会計ソフトから比較的簡単に作成できますので、以前から経営者に提出している担当者も多いかもしれませんが、もし経営者が細かい数字を見るのが苦手だと感じているのであれば、グラフにして示すという方法もあります。売上、売上原価、利益を中心に、経営者が興味を持っている重要項目の変化をグラフにすることで、経営者も経営計画が立てやすくなるでしょう。
付箋や蛍光ペンを活用する
経営者が決算書に興味を持てないのは、書類が苦手だからだという理由が考えられます。学生時代は、教科書などで勉強するのが苦手だったという職人気質の経営者の方もいらっしゃるでしょう。このような場合には、担当者が決算書の説明をしながら付箋や蛍光ペンを活用するという方法で経営者の決算書への興味が高まる可能性があります。変化が大きい数字だけでなく、例えば、経営者との日頃の会話の中で人件費が高いという悩みを抱えていることを知っているのであれば、人件費に付箋や蛍光マーカーで線をひきます。
最近では光熱費やガソリン代の高騰が問題になっていますので、関連する項目にマークを行うのもよいでしょう。その項目がどのように変化するかの説明だけでなく、利益や税金への影響、同じ利益を確保するために必要な値上げ幅、値上げを押さえたい場合にはコスト削減が必要な理由などもあわせて説明するとよいでしょう。また、一方的に説明するのではなく、「現在、気になっている支出などはありますか?」と質問をはさみ、その場で関連項目にマークをするのもよいでしょう。