Management Column国税、地方税、社会保険の調査
税務調査と聞くと、法人税や所得税の調査が思い浮かびます。しかし、調査は国税ばかりではありません。地方税の調査や社会保険の調査もあります。
1月も終わりに近づき償却資産税の申告時期ですが、償却資産税も調査が入ることがあります。今回は、会計事務所が経験する可能性があるさまざまな調査についてまとめました。クライアントから相談された場合に対応できるよう、ポイントを頭に入れておきたいところです。
国税の税務調査
国税の税務調査は、国税庁が管轄する税務署などが、納税者が正しく税務申告を行っているかどうかについて調査するために行われています。申告納税制度のもとでは申告ミスや虚偽申告の可能性があるため、税務調査は必須の制度といえるでしょう。調査には強制調査と任意調査があります。
任意調査は定期的に入るため、会計事務所にとって任意調査の立ち会いは日常業務のひとつといえるでしょう。強制調査は国税局査察部が担当しており、納税者は調査を拒否することができません。悪質で規模も大きい場合に強制捜査が入ることがあるようですが、中小企業をクライアントに持つ会計事務所で経験することは少ないかもしれません。
税務調査では、知識と経験が役に立ちます。また、しっかりとした会計帳簿を作成し、正しい申告を行っていれば、税務調査が入ったからといって慌てる必要もありません。税務調査の連絡があった場合には、まずクライアントと打ち合わせし、売上や経費計上に問題がないことを確認し、必要な書類をそろえるなどの準備を行います。正しい申告を行っていると思っていても見解の相違などで、修正申告が必要になる場合もあります。
地方税の税務調査
地方税の中でも、国税と連動している住民税や地方消費税などは、国税の税務調査で対応できるので税務調査は必要ありません。しかし、償却資産税や事業所税などは税務調査が入る可能性があります。事業所税で関係があるのは主に規模が大きい企業ですので、ここでは償却資産税についてまとめていきます。
償却資産税は、1月末までに申告しなければなりません。免税点に満たない金額で資産の増減がない場には、申告自体を不要とする自治体や、葉書による簡易な申告を認めている自治体もあります。しかし、資産数が多いと大変です。償却資産税の調査では、資産台帳とあっているかどうかがチェックされるため、まずは資産台帳をしっかりと作成し、それに基づいて申告を行うことが大切です。少額資産は減価償却を行いませんので資産台帳を作成しないケースもありますが、償却資産税の申告をする場合には少額資産の資産台帳も作成して申告書とあわせるようにしましょう。
社会保険の税務調査
近年、厚生労働省は社会保険の未加入企業に対する取り締まりを強化しています。加入漏れや加入逃れについても、マイナンバー制度により行政が把握しやすくなっています。社会保険の調査が入ったら、賃金台帳、出勤簿やタイムカード、源泉所得税の納付書などをチェックされる可能性があります。まずは、労働基準法を遵守し、就業規則をしっかりと作成して運用することが大切です。
このほかに、労働基準監督署の調査というものもあります。労働基準法の遵守や労働者の労働環境をチェックするために行われています。労働時間や賃金の支払いだけでなく、安全管理や健康診断が適法に行われている必要があります。