Management ColumnFX等の確定申告は普段からアナウンスを行おう
インターネットでは、個人でも気軽に金融取引ができるようになりました。投資の一つとして、個人でFX(外国為替証拠金)取引、CFD(差金決済取引)、先物取引、仮想通貨取引等ができるようになったのは良いことなのですが、気を付けたいのが税務申告です。会計事務所でも、クライアントに向けて、「これらの収入がある人は、確定申告の必要がある場合があります」といったアナウンスをしていきたいですね。
FXやCFD等と確定申告
FX等の取引をしていて利益が出た場合、雑所得として一律20.315%の所得税(復興所得税を含む)と住民税がかかります。しかし、株式と違い利益から源泉徴収されておらず、申告分離課税扱いとなるので、自分で確定申告をして税金を納めなければなりません。もともと確定申告をしている個人事業者等であれば、確定申告時に「事業所得や給与のほかに収入がないだろうか」と注意を払うことができますが、給与所得者・年金生活者・専業主婦等の場合は、「自分は確定申告とは無関係」と思っている人も多いので、会計事務所としてもアナウンスをしていきたいですね。
FX等の確定申告の特徴は、必要経費が認められていることです。例えば、参考書籍、通信費、新聞、セミナー受講料等の一部が経費として認められているので、領収書の保存についてのアナウンスを同時に行えば、忙しい確定申告時期に慌てて資料を集めるといった事態を避けることができます。
確定申告が必要な場合
FX等の儲けがあり、確定申告が必要な場合を簡単にまとめました。
- 給与所得者
- 給与収入が2千万円以下、年末調整を受けた者で、FX等の儲けを含めた他の所得が20万円を超える場合
- 年金生活者
- 公的年金等の収入が400万円以下、FX等の儲けを含めた他の所得が20万円を超える場合
- 専業主婦等
- FX等の儲けを含めた所得が38万円を超える場合
損益通算が可能!損失がある場合にも確定申告を
FX等の収入は、確定申告をすればグループ内で損益通算をすることができます。グループ内で損益通算しても損失が残った場合には、確定申告をすることで最大3年間の繰り越しが可能となるので、損失がある場合にも確定申告をしておくと、次年度以降に利益が出た場合にメリットがあります。
ただし、公的年金は雑所得ですが、FXの損失と通算することはできません。また、仮想通貨で得た利益は、原則として総合課税の雑所得に分類されるので、株式等、FX等のグループとの損益通算をすることはできません。