Management Column20歳から18歳への成年年齢引き下げと税制
2019年参議院選挙の期日前投票がはじまっています。
日本では、従来、成年年齢は20歳とされていましたが、選挙権年齢等が18歳と定められ、国政上の重要事項については18歳、19歳を大人と認める政策が進められてきています。これを踏まえ、民法でも成年年齢を18歳とすることが主流となってきました。
今回は、成年年齢が18歳と取り扱われることになったことの税法への影響について、解説していきます。
相続税の未成年者税額控除の年齢
相続税では、相続人が未成年者のときは、相続税の額から一定額を差し引くことができます。従来は、満20歳になるまでの年数1年につき10万円で計算した額でした。1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算します。この年齢が平成31年度の税制改正で見直され、満18歳となりました。
したがって、未成年者控除が受けられる人は、次の全てに当てはまる人となりました。
- 1.原則として、相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所がある人
- 2.相続や遺贈で財産を取得したときに18歳未満である人(改正前は20歳未満、2022年4月1日以後の相続から適用)
- 3.相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人であること
相続時精算課税の適用対象者の年齢
相続時精算課税制度の適用対象者(受贈者)は、従来、原則として60歳以上の父母または祖父母から20歳以上の子または孫に対し、財産を贈与した場合に選択することができました。この年齢が平成31年の税制改正で、18歳以上となりました。適用は、2022年4月1日以後の贈与からとなります。
相続時精算課税制度の適用対象者(受贈者)は、従来、原則として60歳以上の父母または祖父母から20歳以上の子または孫に対し、財産を贈与した場合に選択することができました。この年齢が平成31年の税制改正で、18歳以上となりました。適用は、2022年4月1日以後の贈与からとなります。
相続時精算課税を利用するには、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日の間に、一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があり、一度選択すると、暦年課税への変更ができなくなるので注意が必要です。
個人住民税の非課税措置の年齢等
上記にあげた改正の他にも、成年年齢が20歳から18歳になることで、税法上のいくつかの改正がありました。例えば、個人住民税は、前年中の合計所得金額が125万円未満の未成年者は、均等割、所得割が非課税となりますが、この未成年者の年齢も20歳から18歳になります。
納税者の立場から成年年齢の引き下げを考えると、未成年であることのメリットが受けられる年齢が低くなるため、デメリットの方が多いように感じます。選挙権等の権利と引き換えに義務が増えていますので、18歳、19歳の方の積極的な選挙等の参加が望まれます。
成年年齢の引き下げについて、法務省で詳しくアナウンスされていますので、参考にしてください。
法務省 民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)について