Management Column消費税増税前と増税後、買うならどちらがお得?
いよいよ消費税増税まで、一週間余りとなり、増税後の消費の落ち込みに備え、増税前の売り上げアップを狙う店舗も目に付くようになってきました。会計事務所職員の方は、消費税増税の影響について質問されることも多いのではないでしょうか?
今回の消費税増税は、キャッシュレス決済のポイント還元や増税後の優遇税制等があり、一概に増税前の購入がお得とはいえない部分もあります。前回に引き続き消費税増税の影響について、今回は、購入に焦点をあててまとめました。
一般課税と簡易課税の違いによる消費税増税の影響
会社が経費の支払いを行う場合、消費税課税事業者で一般課税を採用しているケースであれば、消費税が8%から10%に上がっても、上がった分の消費税を仕入れ税額控除で引くことができます。会社に必要なものを必要な時に購入すれば足り、まとめ買いで増税に備えなくても問題はありません。消費が落ち込んでからのセールや値引き等で購入した方が、仕入れ価格が下がるので、お得になる場合もあるかもしれません。
簡易課税制度を選択している場合は、売上に一定の仕入率をかけて消費税を計算するため、消費税増税が仕入れにかかる消費税に影響を及ぼさず、支払う消費税が安い方がその分、お得になります。10%の税率が適用され、キャッシュレス決済によるポイント還元もない経費の場合には、9月中のまとめ買いを行うのも良い方法といえるでしょう。
増税前に購入したほうがお得になるもの
消費の多くは、支払いと使用がほぼ同時に発生するため、支払い時の税率が適用されます。しかし、有効期限が長い切符やチケットは、必要なものであれば増税前に購入すると、使用が増税後でも8%の税率となるのでお得です。
また、書籍・プレミア商品等は割引がほとんどなく価格が安定しているため、消費税が増税されることで支払う金額が高くなります。増税前に欲しい本やブランド品があれば、買っておくのも良いかもしれません。
自動車は、消費税増税後に自動車取得税が廃止されるので、増税前と増税後とどちらの購入がよいかについては、計算して検討することが必要となります。しかし、もともと自動車取得税がかからない50万円以下の中古車については、増税前の購入がお得となります。ガソリンをいつ給油すると得なのかは、時価が重要となりますが、消費税だけを考えるのであれば、増税前の給油がお勧めです。
増税前に購入しなくてよいもの
軽減税率の対象となる飲食料品は、増税前に慌ててまとめ買いをする必要はありません。キャッシュレス決済のポイント還元が適用となるお店を利用することで、増税前に購入するより増税後の購入の方がお得になる場合もあります。
また、そもそも非課税のものも増税前に購入する必要はありません。代表的なものとして、土地・賃貸住宅の家賃・保険・商品券・株等があげられます。ただし、これらの売買に伴う手数料は、消費税増税の対象となるので注意が必要です。
消費税増税後に住宅を建てる場合には、増税後の住宅ローン控除の延長・すまい給付金・次世代住宅ポイントといった制度が利用でき、増税前と増税後のどちらがお得になるのかは、ケースによって異なります。