Management Column消費税増税前と増税後、買うならどちらがお得?
法人税については、会計事務所で申告書を作成するため、細かな規定についても詳しい職員の方が多いと思います。しかし、法人事業税は、同じように会計事務所で申告書を作成しますが、会計事務所の判断する箇所が少なく、法人税の申告書を作成すると、申告ソフト上で自動で作成されることが多いので、仕組みがよく分からないという方も多いのではないでしょうか?
今回は、法人事業税と法人税の違いについて、基本的な部分を解説していきます。
所得の計算方法の違い
法人事業税は、申告書を見たときに分かるように、原則として、各事業年度の益金から損金を差し引いて計算する「法人税の所得」を基本として計算します。法人税の別表四の所得の合計に、地方税に特別の定めがある事項をプラスマイナスして、事業税の所得を計算します。
特別の定めとして、海外投資等損失準備金制度の一部不適用、社会保険診療等に係る所得の課税除外、繰越欠損金の損金算入の特例、所得税額等の損金不算入、外国税額の損金算入の調整等があります。所得税額控除がある場合、外国税額が発生している場合、社会保険診療がある場合には、住民税の計算が正しいか注意していく必要があります。
法人事業税の特徴
法人事業税の特徴は、なんといっても、課税標準の種類が多いことです。原則として、付加価値額、資本金等の額、所得の3つの課税標準があります。例外として、電気供給業、ガス供給業、保険業、貿易保険業の4種類の業種については、収入金額が課税標準となります。
これには、法人税のように所得のみを課税標準とすると、大企業でも赤字企業については事業税を徴収できなくなってしまい、地方財政上の問題が生じるからという理由があるそうです。事業税は、各種行政の対価としての性格があるため、大企業で売上規模が大きいにもかかわらず、事業税が0円となってしまうと困るので、課税標準が他の税金より複雑になっているようです。
課税権の調整としての分割基準
事業税は道府県民税であるので、2以上の道府県にまったがって事業を行っている場合には、どの道府県が課税権を持つのかが問題となります。この場合、課税標準を分割することになりますが、この基準が分割基準です。分割基準は、業種によって異なります。例えば、製造業の場合は従業員の数が分割基準となります。多くの道府県にまたがって事業を行っている場合には、分割の仕方により計算が大きく変わってくるため、慎重に計算する必要があります。