Management Column贈答品の授受の取扱い
内閣に入閣し経済産業大臣に就任した菅原元大臣が、就任から約1か月後に辞任に追い込まれました。選挙区の有権者にメロン等の贈答品を配ったという報道で、辞表を提出したためです。この贈答品をめぐる問題は、贈答を政治家が行ったという疑惑で問題追及されたものですが、贈答は日本の慣習として企業では日常的に行われています。
今回は、企業の贈答品について、税務・会計の観点から注意すべき点等についてまとめました。
贈答品の取扱い
お歳暮やお中元等、企業が取引先や日頃からお世話になっている人との関係をよくするために、贈り物をするための支出は、費用として認められています。会計上は、交際費として取り扱われ、税務上は損金算入の限度額が設けられています。資本金の額が1億円以下の企業では、800万円まで又は接待飲食費の50%の損金算入の選択ができ、資本金が1億円を超える企業では接待飲食費の50%まで損金算入が認められています。
会計上の費用に、税務上の損金算入限度額が設けられているのは、無制限に贈答品等の交際費を認めると、企業に必要な交際費を超えた支出を行うことで税金逃れをする可能性が高くなり、また、不必要な交際費は企業の不利益ともなるからです。
国税庁 No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算交際費に含まれる贈答品・含まれない贈答品
交際費というと、1人あたり5,000円基準が頭に思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか?この5,000円基準は、あくまで飲食費ですので、お歳暮等の贈答品が食料品であったとしても、5,000円基準の適用はされず、交際費となります。
カレンダー、手帳、うちわ等、こららの贈答品で広告宣伝効果があるものや、価額が少額なものは交際費から除かれます。つまり、お歳暮であっても広告宣伝効果を意図し、社名の入ったカレンダーや文房具等を贈る場合には、広告宣伝費として処理し、損金に算入することができることになります。ただし、社名が入っていたとしても、本体が金でできている等、広告宣伝効果以上に資産価値が大きいものは、交際費として取り扱われることもあるので、注意しなければなりません。
贈答品をもらった場合
仕事以外の個人的な人間関係での贈答品は、企業の費用とはならず、もらった側は贈与税が課税されるかどうかの問題となってきます。社会通念や慣習から考えて常識の範囲内であれば、贈与税は課税されませんが、高額な金品を贈答された場合は、贈与税が課税される可能性があります。基準としては、贈与税の非課税範囲である110万円で考えることになります。
企業の場合は、原則で考えると、贈答品をもらった場合は雑収入に計上する必要があります。金銭でもらった場合には、事業で得た利益となりますので、しっかりと経理する必要があります。しかし、例えばお菓子等をもらい、社内で消費してしまった場合には、福利厚生費に計上できるために、雑収入と相殺可能です。プラスマイナス0となることがほとんどでしょう。
公務員の贈答品を含む交際費は、とても厳しい規則がありますが、企業では厳しい規制はありません。しかし、今後は、最近の風潮や不正な資金の流れを防止する観点から、厳しくなっていく可能性もあります。会計や税務処理の際にも、企業の費用としてよいものかどうか、交際費となるものか、それ以外の費用とできるものかどうか、しっかりチェックしていきましょう。