Management Column株式の損失確定で節税対策をする方法
日経平均の高値が続いています。自分で株を保有している方や、クライアントで多くの株式を保有している方の中には、利益が気になる方も多いのではないでしょうか?
確定申告で忙しいこの時期ですが、個人の決算日である12月31日が近づいている時期ともいえます。確定申告にむけて、株式をはじめとしたポートフォリオを見直し、節税対策を検討するとよいでしょう。
個人保有株式等の損失確定
株式で多くの利益を出している場合、特に煩雑に売買を繰り返している方は、利益が大きくなっていることがあります。個人の場合は、株式を時価評価するわけではありませんので、売った時点で利益や損失が確定し、税金に影響してきます。
配当金や株で利益が出てしまっている方で、含み損のある銘柄を持っている方は、12月末に向けて損失を確定させると、節税対策になります。株を取引きするための口座を開設するときに、特定口座で源泉徴収ありを選択している方が多いと思いますが、源泉徴収ありを選択した上で、確定申告をすることも可能です。
株の損失確定の方法
株の損失確定は、含み損のある株式を売って損失を確定させた後、買い戻すという方法で行います。
通常の売買で行う場合は、同一営業日に行わないようにします。これは、同じ日に同じ銘柄を複数回売買すると、買いを先に行ったことになってしまうからです。移動平均法で取得単価が計算されるため、以前の単価と今回の単価が平均化されてしまいます。これを避けるために、翌日に買戻しを行います。
しかし、翌日に買い戻すことは、相場変動のリスクを受けることになります。予想以上の損失が出てしまう場合や、予想外の利益が出てしまう可能性もあります。これを避けるために、信用取引を利用してクロス取引を行うという方法で、同じ価格で約定することが可能となります。取引がはじまる前に、成り行きで、損失確定させたい銘柄の売り注文を出しておき、同時に同じ銘柄の信用買い注文を出しておきます。
株の損失確定をするときの注意点
株の損失確定は、節税効果の高い方法ですが、いくつかのリスクがあるので念頭においておきましょう。
まず1つ目は、手数料がかかることです。売買手数料は証券会社ごとに異なるので、チェックしておくとよいでしょう。
2つ目は、取引数が少ない小型株だと、1人が損失確定させることで相場が大きく動いてしまう可能性があり、相場の操縦を行う仮装売買と疑われる可能性があることです。
3つ目は、損失確定をした後に相場が上昇し、利益を確定させるためにその銘柄を売ってしまうと、利益に対して税金がかかることです。しかし、こればかりは売るチャンスを逃すわけにいかないという判断をすることもありますので、仕方ないともいえますね。
株取引は、権利付き最終日までに取引をしておく必要がありますが、これは権利確定日の2営業日前となります。2019年末では、12月26日となります。年末にあわてないためにも、損失確定を検討している方は、早めに予定を立てておきましょう。