Management Columnコロナ禍と税理士試験・税務調査等について
メディアでは連日、新型コロナ関連の情報を発信しており、新型コロナが収束する兆しはなかなか見えてきません。今回は、コロナ禍での国税庁や税務署の様々な対応について、考察してみます。
コロナ禍と税理士試験
延期されていた司法試験が8月12日から実施されており、8月18日からは税理士試験が実施される予定です。新型コロナの感染拡大がとまらない状況ですが、国としてはGoToトラベル等、県をまたぐ人の移動を規制しておらず、税理士試験も予定通り実施される予定になっています。
今年度の税理士試験は、もともと、オリンピックが開催される予定だったため、例年より遅い日程での実施予定になっていました。そのため、司法試験等のように延期はされておらず、予定通りの実施予定です。ただ、イベントの人数制限を考慮し、一会場あたりの人数を少なくするため、2度の会場変更がなされています。
税理士試験は、様々な地域から一会場に受験者が集まるため、人の移動という観点から、感染拡大が心配されます。今年は感染を心配し、感染予防から受験を避けなければならない状況の方もいます。会場での体温チェックは予定されているものの、年に一回の人生がかかった試験のため、体調が悪くても解熱剤を飲んで試験に挑む方もいるかもしれないからです。
会計事務所内で、税理士試験受験者がいて心配な場合は、受験後、1~2週間は自宅待機やテレワークをするといった対応をするとよいかもしれませんね。
コロナ禍と税務調査
国税庁は、7月10日に定期人事異動を発令しています。例年では、税務署の人事異動が終わり、年末調整等の繁忙期に入る前のこれからの時期に、税務調査が本格化していきます。秋は税務調査が多い時期だといえるでしょう。新型コロナ感染拡大の影響がある今年は、税務調査はどうなるのか気になるところです。
今年は、新型コロナの影響で、申告期限を延長している個人や法人も多いと思われます。調査先の選定をする際、従来より選定先が少ないため、調査件数が足りなければ遡って調査される可能性があるかもしれません。また、新型コロナ感染リスクを減らすため、調査先の選定に時間をかけ、申告漏れ等の可能性がかなり高い個人・法人を狙ってくるとも思われます。
しかし、これまで税務調査の対象となりやすかった、いわゆる「接待を伴う飲食店」をはじめとする飲食店は、経営が厳しい状態です。国民感情を考慮しつつ、効率的に税務調査を行うために、生活に余裕のある富裕層を中心に税務調査が厳しくなるかもしれませんね。コロナ禍の中、新しい需要を見つけて頑張っている中小企業で利益が出ているところは、しっかりとした帳簿作りを目指すようにすると安心です。
税務署の執務状況
税務署の職員や来署者に新型コロナに感染した方がいたことがわかると、税務署では、消毒作業等で税務署の執務が中断しています。最近では、その中断期間が短くなってきたように感じます。「保健所との相談のうえ、窓口業務については通常どおり行う」等の記載から推察すると、新型コロナについての情報が以前より判明してきており、保健所が、的確に指導できるようになってきたからかもしれません。
税務署の執務状況は、国税庁のWebサイトで確認できるため、来署する予定のある方は、チェックしてから行くことをおすすめします。
国税庁 税務署の執務状況