Management Column税金がかからない宝くじ、税務署はノーマーク?
新型コロナ感染症の新規感染者が増加し、GoToトラベルも全国的に一時停止することが決定されました。外出での楽しみが少なくなり、宝くじで夢でも買ってみようと考える人もいるのではないでしょうか?
「宝くじで当たっても税金がかからないって聞きました」と、筆者に何人かの問合せがありました。昨年まではそのような問合せはほとんどありませんでしたので、これも新型コロナの影響かもしれないと思いつつ、宝くじと税金について調べてみました。
宝くじの当選金は非課税所得
「宝くじで当選しても税金がかかる」と思っている人もいますが、宝くじの当選金で手に入るお金には、税金はかかりません。宝くじの当選金は非課税所得のため、当選金額の大きさにかかわらず、所得税はかからないことになっています。税金の課税対象ではないことから、住民税もかかりません。
宝くじの当選金は、確定申告等の手続きも不要で、特に何の手続きをしなくても税金はかからないため、当選金額全額を自由に使うことができます。宝くじと違い、競馬や競輪等のギャンブルで得た利益は一時所得となり、金額によっては確定申告が必要になり税金がかかります。そう考えると、宝くじを購入し、少ない金額で数億円を当て、お金に困らない生活をしたいと考える人が多いのもうなづけます。
宝くじの当選金が非課税である理由
宝くじの当選金は非課税で、購入時に消費税もかかりません。では、宝くじは税金とは全く無関係なのでしょうか?
実は、宝くじは当選の有無にかかわらず、購入代金の一部が源泉徴収されています。宝くじは、地方自治体が総務大臣の許可を得て発売し、業務委託を受けた受託銀行が発行・抽選・発表等を行っています。実際の販売業務は、受託銀行の審査を通った個人や企業が行っています。
宝くじは、宝くじ販売所で購入するときに、一律に税金を源泉徴収されています。当選金となるのは売上総額の約45%で、諸経費を差し引いた約40%が地方自治体の収益となるようです。そのため、当選者に税金を課してしまうと二重課税になってしまうため、当選金には税金がかからない仕組みとなっているのです。
宝くじに当選しても税務署はノーマーク?
宝くじの当選金は非課税なので、税務署では当選した人に対して全くのノーマークなのでしょうか?宝くじに高額当選した場合には、当選金が非課税でも税金に注意する必要があることを頭にいれておく必要があります。高額当選では大きな金額が動くため、金融機関から税務署に情報が入る可能性もあります。
考えられるケースの一つとして、何人かの資金を集めて宝くじを共同購入し、当選金を分配するというケースがあります。この場合、分配金が贈与とみなされる危険があります。これを避けるために、当選金を受け取るときに共同購入したという手続きをとる必要があります。
また、当選金を使わなかった場合、将来的には相続財産となりますが、相続時に相続税がかかることになります。当選金を使った形跡がないのに銀行預金残高が少ないと、誰かに贈与したのではないかということで税務署の調査が入る可能性があります。宝くじの高額当選をした場合には、相続対策まで考える必要があり、会計事務所のノウハウが役にたちますね。