Management Column2021年の税制改正はどうなる?
通常国会がはじまり、税制改正の内容が気になる季節になってきました。既に昨年12月10日に与党より「2021年度(令和3年度)税制改正大綱」が発表されています。コロナ禍ということで、大きな改正はない印象ですが、新型コロナ負担軽減に関するものや、菅政権看板政策のデジタル化の一環として納税のデジタル化等が盛り込まれています。
国会を通過するまでは正式な確定事項ではありませんが、毎年、概ね税制改正大綱に沿った改正がされているため、一度は目を通しておきたいですね。今回は、令和3年度税制改正大綱の内容を紹介していきます。
新型コロナの負担軽減
コロナ禍ということもあり、今回の税制改正大綱には、新型コロナの影響を軽減するための内容が盛り込まれています。
まず、固定資産税について2021年度に限り、課税額が2020年度を上回る場合には2020年度と同額に据え置き、課税額が引下がる場合にはそのまま引下がった額となります。
次に、住宅ローン減税について、通常より3年長く適用される特例措置の入居期限が、2022年の12月末まで延長されます。対象物件の床面積や、世帯合計所得の要件も緩和されます。
法人税については雇用改善に重点を置いており、大企業・中堅企業が新たに従業員を採用し、給与総額を前の年度より2%以上増やした場合、その支給額の15%分を法人税から差し引く等の内容が盛り込まれています。
デジタル化に伴う税制
デジタル化を目指すための税制改正大綱で、気になるものは、納税のデジタル化や税務手続きの押印原則廃止です。税目を問わず、原則として税務関係書類の押印が廃止になるのは、会計事務所としてはありがたいですね。税務申告書だけでなく、各種届出書も含まれており、地方税も同様となっています。ただし、実印押印や印鑑証明書添付が必要な書類等、対象外の書類もあります。
ほかにも、現在一部の地方自治体で自動車税や固定資産税がPayPayやLINEPay等の決済アプリで納付可能ですが、今後、国税にも拡充していき、2022年1月以降に30万円未満の納付について可能になる見通しとなっています。
その他の税制
上記の税制以外にも、今回の税制改正にはさまざまなものが盛り込まれています。2021年の12月末が期限だったセルフメディケーション税制は、5年間延長されます。これは、コロナ禍で思うように病院に行けない現在、必要な税制かもしれませんね。
また、認可外保育所利用の助成、産後ケア、教育資金贈与、震災復興のための税制も内容に盛り込まれています。支援を目指す税制項目が多いので、国会を通ったときに的確にアドバイスできるように、クライアントに関係するものを頭に入れておくことよいですね。
財務省 令和3年度 税制改正大綱