Management Column印紙税とまん延防止措置・税務調査・消印
新型コロナウイルス感染症が再び拡大してきており、第4波到来ともいわれています。
まん延防止等重点措置が実施され、事業収入の減少や資金繰りが心配な経営者も増えてきています。税制上で様々な支援措置がとられていますが、今回は、その中で「特別貸付けに係る契約書の印紙税の非課税」に焦点をあて、さらに、税務調査の場合に印紙税はどのように扱われているのか等についてまとめました。
「特別貸付けに係る契約書の印紙税の非課税」とは?
新型コロナウイルス感染症の拡大により、経営に影響を受け、借り入れによる支援を受けたい場合があります。その場合に、⼀定の⾦銭貸付け消費貸借契約書のうち、令和4年3月31日までに作成されるものについて、印紙税が非課税となります。非課税の対象となるのは、新型コロナウイルス感染症とまん延防止措置によって経営に影響を受けた事業者に対して、公的貸付機関等または⺠間⾦融機関が、他の⾦銭貸付けの条件に⽐べ、特別に有利な条件で⾏う⾦銭貸付けを行う際に、作成される消費貸借契約書に対する印紙税です。
印紙税が非課税になる条件を満たしているにもかかわらず、既に印紙税を納付している場合には、「印紙税過誤納確認申請書」を税務署に提出して税務署⻑の過誤納確認を受けることにより、その印紙税分の還付を受けることができます。
印紙税と税務調査
税理士法上では、第2条で、印紙税は業務範囲から除かれています。つまり税理士は、印紙税に関しては、税務代理・税務書類の作成・税務相談のすべてを行うことができないと、法律で定められているのです。印紙税に関して、税務調査で税理士が意見を述べようとした際に、「税理士にはその権限がない」と税務調査官とトラブルになることもあります。一方で、クライアントから印紙税の相談があったり、時には、税務調査の際に調査官に質問を受けたりすることもあり、税理士に印紙税の権限がないことは、あまり周知されていないようです。
税務調査の際には、クライアントの意見を伝える形で発言する等、代理行為にならないように注意することで、トラブルを少なくできるのではないでしょうか?印紙税は、税理士の業務範囲ではありませんがしっかりと制度を把握しておきたいですね。
国税庁 印紙税印紙と消印
印紙税は、もともと1624年にオランダで戦費調達のために発明され、これが世界で導入されていき、日本でも1873年に導入されました。
印紙税の課税対象となる文書に印紙を貼り付けた場合には、消印を押さなければなりません。新型コロナウイルスの影響で、公的書類の捺印不要が推し進められていますが、印紙については捺印が必要となっています。ただし、押印でなく署名も認められているので、今後は署名が主流となってくるかもしれませんね。
国税庁 印紙の消印の方法