Management Column消費税の非課税・不課税・免税を正しく分類しよう
延長された確定申告の期限まで残りわずかとなり、3月決算の申告時期が近づいてきました。大阪・東京・兵庫の3都道府県に緊急事態宣言を出す方向で調整が行われており、なかなか収束しない新型コロナウイルスに経済や仕事への影響が気になりますが、会計事務所の繁忙期ももうすぐ終わりです。気をひきしめて頑張りたいですね。
申告業務の前には、日々の記帳をまとめて見直さなければなりません。今回は、記帳チェックの際に気になる消費税の非課税・不課税・免税についてまとめました。
消費税の非課税・不課税・免税を正しく分類しよう
帳簿の入力業務では、消費税の課税・非課税・不課税・免税を分類して入力しなければなりません。
非課税・不課税・免税は、消費税がかからないという点で共通し、金額が少ない場合には全体に大きく影響しないため、手間を省くために分からない場合には不課税にしてしまっているという担当者もいるかもしれません。しかし、あとから見直したときに正しい処理がされていないと、疑問に感じて調べたり訂正したりという手間がかかってしまいます。
また、金額が大きい場合には、課税売上割合に影響し消費税額が変わってくる可能性もあるので、まずは正しい分類方法を頭にいれて、入力に反映させましょう。
課税と不課税
消費税は、大きく課税と不課税に分類されます。消費税の要件である「国内取引」「事業者が事業として行う取引」「対価を得て行う取引」「資産の譲渡、貸付け又は役務の提供」という4つの要件に当てはまれば課税となり、当てはまらなければ不課税となります。
例えば、国外での消費・無償の寄付や贈与・出資に対する配当等が不課税に分類されます。
非課税と免税
課税という分類の中に、8%や10%等の税率がかかる課税・非課税・免税があります。
非課税に分類されるものは、消費税の課税対象としてなじまないものや社会政策的配慮から、消費税法上で限定列挙されているものをいいます。例えば、土地の譲渡貸付、住民票の発行、社会保険医療給付、住宅の貸付等が挙げられます。 取引時点では資産が国内にあり国内取引に該当したとしても、輸出取引等は免税に分類されます。これは、消費税は国内での消費に負担を求めるものであるという考えから、消費税を課税しないとされています。
課税・非課税・不課税・免税は何に影響するのか
課税・非課税・不課税・免税の違いは、消費税額に影響します。
課税売上割合を考えると、不課税に分類される売上については消費税の要件に当てはまらないことから、分母・分子ともに算入されません。免税に分類される売上は分母・分子ともに算入されますが、非課税に分類される売上は分母のみに算入されます。免税が分母と分子に算入されるのは、免税取引が0%の課税と考えているためです。このため、売上が全額免税のケースでは、売上に係る消費税が免除されるともに、仕入れに係る消費税を控除できることになり、還付を受けることが可能となります。
課税売上が5億円を超えたり、非課税売上が多く課税売上割合が95%未満となる業種では、支払った消費税が全額控除できないため、仕入れが課税売上・非課税売上・それ以外のどれに対応するのかの分類も重要になってきます。
日頃何気なく処理を行っている消費税の処理ですが、課税売上割合や簡易課税の有利不利の判断ミスは、消費税の金額に大きく影響します。考え方をしっかり頭に入れて、日頃から正しい処理を心がけるようにしましょう。
国税庁 No.6209 非課税と不課税の違い