Management Column固定資産税の申告が必要なケース・現所有者の申告とは?
法人税・所得税・消費税等の税金は、申告納税方式がとられており、会計事務所の業務の中心を占めるため、馴染みが深い税金といえます。しかし、固定資産税は、事業用償却資産について毎年の申告があるものの、土地・家屋については賦課課税方式がとられており、市町村から届く納付書どおりの金額を納税するため、課税の仕組み等があまり分からないという会計事務所スタッフも多いのではないでしょうか?
この固定資産税について、令和2年度から、「土地・家屋の現所有者の申告」が必要なケースがあります。今回は、これがどんな制度なのかを詳しくまとめました。
土地・家屋の固定資産税は台帳課税主義
固定資産税の納税義務者は、1月1日の固定資産の所有者です。土地・家屋については、登記簿等に登記・登録されている人が所有者とされるため、1月1日に登記簿等に登記・登録されている人が納税義務者となります。
登記簿に登録されている土地・家屋については、土地課税台帳・家屋課税台帳に登録されます。登記簿に登録されていない土地・家屋で固定資産税を課すことができるものについては、土地補充課税台帳・家屋補充課税台帳に登録されます。固定資産税は、これらの固定資産課税台帳に基づいて課税されるので、台帳課税主義とよばれています。
現所有者とは?
土地・家屋の固定資産税は、1月1日に所有者として、登記・登録されている人に課税されますが、もし1月1日に所有者として登記・登録されている個人が亡くなっている場合はどうなるのでしょうか?1月1日より前に亡くなっている場合には、1月1日に「現に所有している人」が所有者となります。「現所有者の申告」は、この「現に所有している人」を把握するためのものです。
土地・家屋の所有者が死亡すると相続登記等の手続きが必要になります。相続登記等の手続きが完了していない場合には、相続人全員の共有財産となり、相続人全員が連帯納税義務を負います。法定相続人や受贈者等が現所有者となり、その市町村の条例によって、申告が必要となります。
「現所有者の申告」とは?
現所有者は、その氏名・住所または名称・その他固定資産税の賦課徴収に必要な事項を記載した申告書を、各市町村に提出しなければなりません。提出期限は、現所有者であることを知った日の翌日から3か月となります。この申告では、不動産登記簿の名義は変更されないので、相続登記は別に行う必要があります。
固定資産税は地方税であるため、その土地・家屋の所在する市町村に納税することになります。申告書等が各市町村により異なるため、各市町村のWebサイトを参考にしてください。
東京都の場合は、東京都主税局のWebサイトで、現所有者申告書を入手することができます。
東京都主税局 現所有者申告のご案内