Management Columnキャンセル料の税務上の取り扱い
新型コロナウイルスの拡大を受けて、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象となっている地域が増えています。一刻も早く、新型コロナが収束してくれることを願うばかりです。
緊急事態宣言等の発出があると、イベント等の中止が相次ぎます。また、発出がない地域でも、新型コロナが拡がってきていると感じた人は、自らイベント等の参加をキャンセルする場合もあります。今回は、キャンセル料の取扱いに焦点をあて、その取り扱いについてまとめました。
キャンセル料の性質で分類する
キャンセル料に消費税がかかるかどうかは、そのキャンセル料が、損害賠償金としての性格のものか、事務手数料等としての性格のものなのかによって異なってきます。
損害賠償金として性格を持つキャンセル料であれば、それは逸失利益、つまり本来得ることができたであろう利益がなくなったことに対する補填金となります。これは、消費税法の課税要件の1つである資産の譲渡等の対価に該当しないため、消費税の課税はなく、不課税として取り扱われます。
事務手数料等としての性格を持つキャンセル料であれば、解約手続等の事務の対価、つまり役務の提供の対価となります。これは、消費税の課税要件に当てはまるので、消費税の課税対象となります。
キャンセル料の具体例
損害賠償金としての性格を持ち、消費税が不課税として取り扱われるものは、例えば、航空運賃のキャンセル料で、搭乗区間や解約等の時期などにより金額の異なるものがあげられます。キャンセル料で、「本来の金額の半額」等の表記があるものは、損害賠償金としての性質を持つと考えられます。
事務手数料等としての性格を持ち、消費税が課税されるものは、例えば、払い戻し手数料等があげられます。これらは、支払った日の属する課税期間に課税されます。当課税期間にキャンセル料の支払いがあった場合は、キャンセルの対象であるイベント等が翌課税期間であったとしても、当課税期間で処理します。
では、損害賠償金としてのものか、事務手数料としてのものかが区分されず、一括してキャンセル料とされている場合はどうなるのでしょうか?この場合は、その全額が不課税として取り扱われることとなっています。
キャンセル料の源泉所得税
講演料等には、源泉所得税が発生します。新型コロナでイベント等の中止に伴い、講演等が中止になるケースも多いのではないでしょうか?
講演等の中止に伴うキャンセル料の多くは、逸失利益の補填として損害賠償金の性格を持つと考えられるため、消費税は不課税として取り扱われます。しかし、源泉所得税については、所得税法で「報酬、料金又は契約金の性質を有するもの」は名義を問わず源泉徴収の規定が適用されることになっており、源泉徴収の対象となります。
国税庁 No.6253 キャンセル料