Management Column申告期限の延長方法が変更、「やむを得ない理由」とは?
会計事務所では、例年では、3月決算5月申告の業務も終わって繁忙期を無事に乗り越え、ほっと一息の時期です。しかし、今年は、緊急事態宣言の延長の影響ややクライアントの資金繰り相談等、なかなか一息つけない会計事務所も多いのではないでしょうか?
税金面では、新型コロナウイルスの影響を考慮した様々な措置が認められています。今回は、令和3年4月16日以降に変更になった申告期限の延長方法についてまとめました。
申告期限の延長方法の変更
新型コロナウィルス感染症の影響を考慮して、国税庁は、申告期限の延長を認めてきました。これまでは、申告書の余白等に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」記載するといった簡易な方法で、申告期限の延長が可能でした。
これからは、令和3年4月16日以降に申告期限延長をしたい場合、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を作成し、提出をすることが必要となりました。
申告期限延長のポイント
令和2年分の所得税・贈与税・個人事業者の消費税は、もともとの申告期限が延長されており、令和3年4月15日までとされていました。延長後の期限までに申告・納付ができないと認められるやむを得ない理由がある場合には、所轄税務署長にその延長を申請して承認を受けることで、その理由がやんだ日から2か月以内の範囲で、個別指定による期限延長が認められます。
相続税の場合は、期限延長を申請する相続人全員が申請書を作成する必要があるため、注意しなければなりません。また、延長した場合の相続税納付期限は申告書の提出日となるため、申告書提出と同時か、提出前に納税をしなければなりません。
「やむを得ない理由」とは?
「災害による申告、納付等の期限延長申請」は、災害その他やむを得ない理由により、申告等ができない場合に、その期限延長の指定を受けるための手続です。では、「やむを得ない理由」とは何を指すのでしょうか?
新型コロナ関連としての具体例には、
- 会計事務所職員を含む税務代理等を行う税理士が感染症に感染したこと
- 納税者、法人の役員、経理責任者等が外国に滞在しており、入出国に制限等があること
- 外出自粛が求められ、経理担当部署の多くが業務に従事できないこと
- 納税者等が感染症に感染・感染症の患者に濃厚接触した事実があること
等があげられます。 税務代理等を行う税理士等が感染するケースも、やむを得ない理由として認められており、新型コロナの影響を広く認めていると感じられます。予防対策をしっかりとり、それでも新型コロナの影響を受けてしまった場合に、利用を検討したい制度です。