Management Column臨時的な収入があったときの平均課税制度
いよいよオリンピックがはじまりますが、新型コロナウイルスの新規感染者数が増えてきており、東京都をはじめ緊急事態宣言が出ている地域もあります。加えて、暑さが本格化し、熱中症リスクも高まっています。感染予防と熱中症対策をしながら、夏を乗り切っていきましょう。
新型コロナだけではなくオリンピックというイベントがあり、臨時的に収入が増える方もいるのではないでしょうか。今回は、臨時的に増えた収入に対して税金を緩和する制度である「平均課税」についてまとめました。適用されるケースは限定的ですが、あてはまる場合には適用を検討してみてはいかがでしょうか。
平均課税とは
収入が増えると税率が高くなるのが、日本の採用している超過累進税率です。「今だけ臨時収入があり税率が高くなってしまう。普段は収入が少ないため、高い税率で税金を納める余裕がない」という場合に、税金を緩和する「平均課税」という制度があります。
平均課税は、変動所得・臨時所得に適用されます。
<変動所得>
事業所得・雑所得のうち、次のものをいいます。
- 漁獲(魚類や貝類などの水産動物を捕獲してそのまま販売、簡単な加工をして販売、のりの採取)による所得
- はまち、まだい、ひらめ、かき、うなぎ、ほたて貝、真珠、真珠貝の養殖による所得
- 印税や原稿料、作曲料などによる所得
<臨時所得>
事業所得・不動産所得・雑所得のうち、次のものやこれらに類するものをいいます。
- 土地・家屋の貸付けなど、3年以上の期間他人に不動産など使用させることにより、権利金や頭金などで、一定の要件をみたすもの
- 公共事業の施工などで事業を休業・廃業したり、鉱害その他の災害により事業などに使用している資産が損害を受けたりしたことにより、3年以上の期間分の事業の所得などの補償として受ける補償金
- プロ野球の選手などが、3年以上の期間特定の者と専属契約を結ぶことにより、一時に受ける契約金で、報酬の2年分以上であるもの
平均課税の計算
平均課税では、通常の超過累進税率よりも低い税率を適用して税額を計算することが可能です。
平均課税で税額を計算するには、通常の他の所得と平均課税対象所得をわけ、平均課税対象所得が5分の1であると仮定して、通常の他の所得と合算して税率を出し、その税率が平均課税対象所得の残りの5分の4にも適用されると考え、税額を計算します。結果的に税率が低くなるため、その分だけ所得税が安くなる仕組みになっています。