Management Column償却資産は法人税・所得税と固定資産税でどう違う?
新型コロナウイルスの感染拡大について、オミクロン株の流行が深刻になってきました。その感染力の強さから、社会活動がストップすることによる影響が懸念されています。会計事務所では繁忙期に入っています。質を落とさず、人との接触機会を減らしつつ、業務を維持していくのは大変なことですが、なんとかここを乗り切っていきましょう。
今回は1月31日が申告書の提出期限である償却資産について、固定資産税の償却資産と所得税や法人税での減価償却資産との違いについて、まとめました。
固定資産税での償却資産
固定資産税での償却資産とは、「土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産でその減価償却額又は減価償却費が、法人税法又は所得税法の規定による所得の計算上、損金又は必要な経費に算入されるもの」をいいます。つまり、基本的には法人税や所得税の償却資産と同じものとなるわけです。
申告については、固定資産税には「免税点」という制度があり、償却資産の課税標準となるべき額が150万円に満たない場合には、固定資産税を課することができません。とはいっても、150万円に満たない場合でも、市町村からお問合せがくる場合があるので、税金が発生しないことを明確にするために申告書を出しておいたほうがよいでしょう。
償却方法については、法人税や所得税より簡便な方法となっており、特に購入した初年度の償却を、月割り計算ではなく2分の1として計算することが特徴的です。
法人税や所得税で償却できるもので、固定資産税の償却資産でないもの
法人税や所得税では償却しているのに、固定資産税では償却資産にあたらないものには、次のものがあります。
- ①家屋
- 家屋には固定資産税はかかりますが、「家屋に対する固定資産税」として課税されるため、償却資産としての課税はありません。
- ②少額のもの
- いわゆる少額の減価償却資産、一括償却資産、取得価額20万円未満のリース資産は、固定資産税の課税客体から除かれます。
- ③生物
- 牛、馬、果樹その他の生物について、法人税や所得税で償却する場合がありますが、固定資産税では課税されません。
- ④自動車など
- 自動車税や軽自動車税がかかっているものに固定資産税が課されると二重課税となるので、固定資産税は課税されません。
法人税や所得税で償却していなくても、固定資産税の償却資産となるもの
法人税や所得税では償却していていなくても、固定資産税では償却資産にあたるものには次のものがあります。
- 1.固定資産税の償却資産の定義にあてはまるもので、法人税や所得税が課されない団体などが所有しているものは、減価償却していなくても固定資産税の償却資産に含まれます。
- 2.簿外資産 、償却済資産、 赤字決算で減価償却を行っていない資産は、事業の用に供することができるものであれば、固定資産税の償却資産に含まれます。
- 3.建設仮勘定として経理されている資産は減価償却は行われませんが、その一部が1月1日現在すでに完成し使用されているものは、固定資産税の償却資産に含まれます。