Management Column税金の納付方法と納税資金の確保
会計事務所では1月が終わると業務がひと段落ですが、すぐに2月に入り、いよいよ確定申告業務が本格化します。新型コロナウイルスの感染拡大で、オミクロン株が経済活動に影響を及ぼしているため、確定申告期限が延長されるのかされないのか、が少し気になるところですが、今のところ、延長のアナウンスはありません。
3月15日までの確定申告となると、会計事務所で心配なことは「期日までに申告が終わるかどうか」ということなのですが、納税者の立場で考えると「いくら税金が発生して、それが納付できるのかどうか」が気になります。会計事務所のスタッフとして、申告書の作成だけでなく、納付方法や納税資金を気にかけアドバイスができると、クライアントからの信頼がより高くなるのではないでしょうか。今回は、クライアントへのアドバイスへの参考として、税金の納付方法と納税資金の確保についてまとめました。
税金の納税方法
税金は、さまざまな方法で納付をすることができます。金融機関や税務署の窓口での現金納付、預貯金口座からの振替により納付する方法は、従来からあるために周知されていると思いますが、このほかにも、e-Taxを利用したダイレクト納付、インターネットバンキングでの納付、クレジットカードでの納付、コンビニ納付といった方法もあります。
納付方法によって、現金が出ていくタイミングがずれます。納税を少し遅らせたいと考えている方は、納税方法を変えるだけで資金繰りが可能となる場合もありますので、現金納付以外の納税方法を検討してみてはいかがでしょうか。国税庁の「令和3年分の確定申告においてご留意いただきたい事項」では、「キャッシュレス納付のご案内」として、クレジットカード納付の手続きなどがわかりやすく掲載されています。
延納制度とは
令和3年度分の確定申告について現段階では、所得税等は令和4年3月15日(火)、消費税及び地方消費税は令和4年3月31日(木)が申告・納付期限になっています。振替納税の場合は、所得税等は令和4年4月21日(木)、消費税及び地方消費税は令和4年4月26日(火)です。
税金の納付を遅らせる方法には、納税方法を変更するほかに、延納という制度があります。所得税等については、令和4年3月15日(火)まで、振替納税の場合は令和4年4月21日(木)までに、納付すべき税額の2分の1以上を納付すれば、残りの税額の納付を令和4年5月31日(火)まで延長することができます。ただし、延納期間中は年0.9%の割合で利子税がかかります。
国税庁 延納の届出納税資金の確保
納税資金の確保が問題となるケースで多いのは相続税ですが、所得税の確定申告でも、現金が手元に入ってくるタイミングによっては納税資金の確保が問題となります。また、消費税及び地方消費税の納付金額が大きくなり、負担に感じている経営者も多くいます。
現金が手元に入ってくるタイミングが遅れているという理由であれば、金融機関に融資をしてもらうという方法があります。「納税のため」という理由での融資は、あとから収入が確実にあることが明確であれば、比較的融資をしてもらいやすいでしょう。消費税及び地方消費税の納付については、できれば事前に納税資金を積み立てておくのことが望ましいです。売上の金額から、概算での消費税及び地方消費税の納付額がわかりますので、月々の売上の集計が終わった段階で月ごとに積み立てるとよいでしょう。