Management Column個人が負担する税金、住民税とは
ロシア・ウクライナ情勢は楽観的な予測を許さず、今後の社会変化に注視していかなければなりません。今まで当たり前だと思っていた国境や国籍、世界の在り方は実は当たり前のものではなく、人々の努力によって成り立っているものだと考えさせられます。
国や住む地域の違いにより、どこに税金を納めるかが違ってきます。税金で国や地方の運営を行っており、国や地方の方針が税金の使い道にあらわれると思うと、税金にかかわる仕事をする会計事務所の役割は大きいのではないでしょうか。
今回は、そこに住む人々が納めなければならない住民税について、基本的な部分をまとめました。住民税は、会社員であれば源泉徴収されています。地方税であり、市町村が納付額を計算して納付書を送付します。このため、会計事務所ではその仕組みについてあまり知られていないかもしれませんが、個人の負担が大きい税金ですので基本的なところは理解しておく必要があります。
住民税の基本的な仕組み
住民税の基本的な仕組みは、各自治体がその行政サービスのために、必要な費用を住民が負担するものです。住民税には所得割と均等割と呼ばれる部分があります。所得割は、国税である所得税と同じように、毎年1月から12月までの1年間の所得金額をもとに税額が計算される部分です。ただし、国税にはあって住民税にはない項目など、その計算方法は多少異なります。均等割りは、地域社会の会費的なものとして一律に課せられる部分です。所得が低い場合には住民税が非課税となります。
源泉徴収されない場合(普通徴収)には、市町村が個人宛てに納税通知書と納付書を送付します。原則として、一括納付では納付期限は6月末、分割の場合は納付書に記載された納期限までに税金を納めます。
住民税は地方税ですので、各市町村ごとに税率などが異なっています。
会社が行う住民税に関する業務
会社では、毎年12月末に年末調整を行い、各給与受給者の給与支払報告書を作成し、翌年1月末までに提出します。給与支払報告書を提出すると、住民税は基本的に特別徴収となります。
毎年5月頃に、会社宛てに市民税・県民税特別徴収関係書類が送付され、会社では特別徴収税決定通知書会社で各給与受給者の毎月の住民税額を把握し、源泉徴収を行います。また、市民税県民税納付書が入っており、この納付書で会社が給与受給者にかわり納税を行います。
従業員の入退職の際の住民税に関する業務
従業員が入職前に普通徴収だった場合は、特別徴収切替届出書を提出します。
従業員の退職時には、給与所得者異動届出書を提出します。この届出書に、退職時に残りの住民税を従業員から一括徴収して納付するか、転職先で源泉徴収をするか、従業員自身が残りの住民税を納付するかを記載します。
住民税は、所得税のように仮に計算した税額を源泉徴収するのではなく、確定した所得をもとに源泉徴収するため、退職して所得がなくなったとしても前年分の所得をもとに税金を納めなければなりません。逆に、今まで所得がなく働き始めた場合には、最初の1年は住民税が源泉徴収されないことになります。