Management Column税務調査では証拠書類、記帳に注意(令和4年度税制改正)
令和4年度税制改正法は、3月31日に交付され、4月1日から施行されています。基本的には、成長と分配の好循環を目指し、コロナ後の新しい社会の開拓をコンセプトとした内容となっています。
税制改正は、概ね税制改正大綱に沿ったものとなっています。今回はその中でも、税務調査に関する改正に焦点をあててポイントをまとめました。
証拠書類のない簿外経費の取り扱い
これまで、税務調査で経費の過大計上などの指摘があった場合、簿外経費があると納税者が主張する事例が多くありました。実際に簿外経費があったとしても、税務当局ではこれを把握するためのコストが多大となります。また、中には仮装・隠蔽という悪質なケースもあります。そこで令和4年度税制改正で、証拠書類がない場合には、原則として必要経費や損金を算入することができなくなりました。
個人の場合は、令和5年度分以降、法人の場合は令和5年1月1日以降に開始する事業年度から適用があります。この制度は記帳をしっかりと行っていない事業者や無申告者に対する罰則的な意味もあり、今まで以上に、記帳、証拠書類の保存、申告の有無について注意を払う必要があるでしょう。
過少申告加算税など
記帳をしっかりと行わせ、悪質な納税者に対応するために、令和4年度税制改正で過少申告加算税や無申告加算税が加重されています。納税者が修正申告をする前に税務職員から帳簿の提出を求められたにもかかわらず、帳簿を提示・提出しなかった場合や、売上・収入金額の記載が著しく不十分だった場合に、通常の過少申告加算税または無申告加算税の額に加えて、申告漏れに関する税の一定割合が加算されます。その割合は、売上・収入金額の3分の1以上が記載されていない場合は5%、2分の1以上が記載されていない場合は10%というように、具体的に定められています。
これは、令和6年1月1日以降に法定申告期限などが到来する国税について適用されます。
税務調査で求められた資料はe-TAXで提出できる
電子帳簿保存法の改正など、ペーパーレス社会を目指した取り組みがなされていますが、税務調査の分野でも令和4年1月から、提出を求められた資料がe-TAXで提出できるようになっています。帳簿書類のほか、請求書や納品書の写しなどもe-TAXによる提出が可能で、形式はPDFとなっています。
帳簿や証拠書類の保存、電子帳簿への対応などに注目した法改正が進んでいます。会計事務所でも、クライアントの記帳整備やペーパーレス化について積極的にアドバイスできる機会となるのではないでしょうか。
e-TAX 令和4年1月から、税務調査等で提出を求められた資料がe-Taxで提出できるようになります!!