Management Column固定資産税の納税義務者とは?所有者以外に課税される場合に注意
土地や家屋などの不動産を所有している場合や、事業用の償却資産を所有している場合、固定資産税が課されます。しかし、固定資産税は賦課課税方式がとられ、会計事務所にはあまりなじみがない税金ともいえます。とはいっても、経費の処理や償却資産の申告の際には、固定資産税という項目を取り扱わなければならず、業務の流れの中で処理していても基本がわからないという会計事務所スタッフも多いのではないでしょうか。
今回は、固定資産税の中で、納税義務者についての知識をお伝えします。
固定資産税は固定資産の所有者に納税義務がある
固定資産税は、法人税や所得税などと違い、申告課税方式ではありません。1月1日現在の土地、家屋と事業用償却資産の所有者として固定資産台帳に登録されている人に課税され、台帳課税主義と呼ばれています。例えば、1月2日に家を新築した場合、課税されるのは次の年からになります。
では、本来、固定資産税は1月1日現在の所有者に課税されるのに、中古不動産の売買などで固定資産税を負担することがあるのはなぜなのでしょうか。これは、所有期間に応じて固定資産税を負担するという商慣習があり、当事者の合意により主に日割り計算で固定資産税を負担しようというものです。
固定資産の所有者とは?
固定資産の所有者とは、1月1日現在、土地、家屋と事業用償却資産の所有者として固定資産台帳に登録されている人をいいます。土地、家屋については登記簿があるため、登記簿に所有者として登記されている人が固定資産課税台帳(土地課税台帳、家屋課税台帳)に登録されます。中には、登記簿に登記されていない土地、家屋もありますが、固定資産税を課することができる場合には、土地補充課税台帳、家屋補充課税台帳に登録され、やはり所有者に課税されます。事業用の償却資産については、所有者の申告に基づいて償却資産課税台帳が作成され、これに基づいて課税されます。
もし、個人が死亡するなどの理由で課税台帳上の所有者と現に使用している者とが違う場合には、賦課期日に現に使用している者が所有者となります。また、質権や一定の地上権が設定されている場合は、質権者、地上権者に課税されます。
所有者以外に課税される場合もある
近年、問題となっている所有者が不明の固定資産ですが、この場合には現に使用している者が所有者とみなされて固定資産課税台帳に登録され、この者に課税されます。
事業に関係あることが多いものとしては、家屋の附帯設備があります。例えば、事業用に取り付けたエアコンなど、家屋と一体となるため家屋とみなされる償却資産をいいます。本来は家屋として家屋の所有者に課税されるのですが、例外として、取り付けた者の事業用に使うことができる資産である場合に限り、家屋ではなく償却資産とみなし、取り付けた者を所有者とみなして、取り付けた者に固定資産税が課することができるとされています。償却資産申告の際には、注意しましょう。
このほかにも、固定資産の実態に応じて課税できるように、さまざまな制度などが設けられています。