Management Column2022年(令和4年)分の年末調整のポイントは?
秋の気配が感じられるようになると、会計事務所では、年末調整が気になる時期となります。今年の年末調整は、どのような事項がポイントとなるのでしょうか?
2022年(令和4年)分の年末調整では、税務上の大きな変更点はありません。しかし、近年、大きな改正が続いており気を付けるべき点はたくさんあります。昨年の年末調整と異なる点や注意すべきポイントについてまとめました。今のうちから、年末調整を念頭においてスケジュールを組んでいきましょう。
控除証明の電子データ提出
生命保険料や地震保険料、住宅ローンなどの控除証明については、すでに電子データでの提出ができるようになっています。これに加えて、新たに社会保険料と小規模企業共済掛金控除の控除証明についても、電子データでの提出が可能となります。電子データでの提出が難しい場合でも、必要に応じて国税局のQRコード付証明書等作成システムを利用して提出することもできます。
とはいっても、中小企業では年末調整書類を従来通り、紙で提出したい従業員もたくさんいます。マイナンバーカードを取得していなかったり、マイナポータルを利用していなかったりという方も多いです。また、会計事務所でも、紙での提出で統一したほうが業務が進めやすいかもしれません。今後は電子化へ向けた取り組みが増えていき、電子データでの提出が当たり前になっていくと思われますので、電子化を進めないのではなく、機会があったら会計事務所でも控除証明の電子データ提出に向けた取り組みをはじめるとよいかもしれません。
国税庁 年末調整手続の電子化に向けた取組について令和5年の年末調整に関係するもの
税制改正で、住宅ローン控除の適用期限が、2025年12月31日まで延長されています。これに伴い、2022年から2025年までの間に入居した場合の住宅ローン控除について、借入金などの年末残高の限度額、控除率などが変更されました。2022年度から住宅ローン控除を受けたい場合、1年目は確定申告ですので、実際に年末調整に関係するのは2023年度からになります。
その他、非居住者扶養親族などについても変更されます。
今までの年末調整に関係するもの
最近の年末調整関係の変更では、令和2年度に大きな変更がありました。
まず、2020年1月からの所得税法が改正により、基礎控除は引き上げられ、給与所得控除は引き下げられました。それに伴い、源泉控除対象配偶者の所得が、95万円以下に変更されました。また、同一生計配偶者の所得は、48万円以下に変更されました。さらに、寡婦控除全体が見直され、ひとり親控除が認められるようになりました。
年末調整は、控除証明があるものは証明書どおりに入力すればよいのですが、家族の状況に関しては常に変動があり、注意しなければなりません。年齢に関するものは、年末調整ソフトに生年月日を入力することで、ある程度は自動的に検証が可能です。家族の状況の変化が間違いないかどうかは、会計事務所がクライアントやその従業員に聞き取りをすることでしか把握することができません。近年、変更が多い項目ですので、しっかりとチェックしていきましょう。