Management Column税務署から届く「お尋ね」とは
税務署から届く「お尋ね」とは
税務署から「~についてのお尋ね」という文書が届くことがあります。普段目にすることがないため、なかには驚く人もいます。この「お尋ね」にはさまざまな種類があり、例えば、以下のようなものです。
- 所得税(及び復興特別所得税)の確定申告についてのお尋ね
- 譲渡所得の申告についてのお尋ね
- 事業内容等についてのお尋ね
- お買いになった資産の買入価額などについてのお尋ね
- 消費税還付申告の内容についてのお尋ね
- インターネット取引内容等についてのお尋ね
- 国外送金等についてのお尋ね
- 相続についてのお尋ね
これらは、所得税、消費税、相続税、贈与税などにかかわる「お尋ね」です。
税務調査ではなく、行政指導
「お尋ね」は行政指導として行われるものであり、税務調査ではありません。「お尋ね」の主な目的は、申告の内容が正しいかどうかの確認、無申告の場合には申告の督促、申告が必要かどうかの情報収集などにあります。法的拘束力がないため、届いた「お尋ね」に回答する義務はありません。
しかし、回答せずにいると、次に電話での問い合わせや税務署への呼び出しへと発展していくことがあります。そのような場合は、本来行われるべき申告についての情報を税務署側がすでに持っていることが考えられます。行政指導は比較的軽微な案件について行われるものですから、「お尋ね」が届く理由に心当たりがある人は、無視せず正確なデータをもとに回答をした方が無難です。
不動産を売ったあとに届く「お尋ね」
例えば、不動産を売ったあとに届く「お尋ね」は、譲渡所得について正しく申告がされているかどうかを尋ねるものです。数か月から一年後など、届くまでの期間はまちまちです。そこには売却した不動産の情報や、その不動産をどうやって手に入れたか、その不動産をいくらで売ったかといったことについての質問が書かれています。
ところで、なぜ税務署は不動産を売ったことを知っているのでしょうか。それは、所有権移転に関する情報を法務局から定期的に手に入れているからです。その情報では「いつ、誰と誰との間で、どんな理由で所有権が移転したか」は把握できますが、売ったことで利益が出ているかどうかまではわかりません。そのため「お尋ね」を送って、利益の有無を確認するわけです。
「利益が出ていないように装っておけば…」などと考えてはいけません。不動産を買った人にも別の書式の「お尋ね」が送られているからです。また、一定の金額以上の不動産を法人が買ったり、個人の不動産業者が買ったりした場合は、買い手が「不動産の譲受けの対価の支払調書」を作成し、税務署に送ります。それらによっても「誰からいくらで買ったか」を、税務署は把握します。
「インターネット取引内容等についてのお尋ね」
はじめに書いたように、さまざまな税目についての「お尋ね」が送られています。なかでも最近増えているのは、「インターネット取引内容等についてのお尋ね」です。昨今、ネット通販やネット広告、暗号資産取引などの経済活動が活発化しています。ネット上での売買で利益を得ている人の無申告が目立つようになり、税務署もその対策にかなり力を入れています。心当たりのある人は、この「お尋ね」にも正確なデータをもとに回答することをお勧めします。