Management Column税務署長の処分に納得できない! そんなときは…
再調査の請求・審査請求・訴訟
税務調査で追徴と言われたけど、どうしても納得できない。そんなときは、その処分の取消しや変更を求める「不服申立て」を行うことができます。不服申立ては行政上の救済制度であり、税務署長に対して行う「再調査の請求」と、国税不服審判所長に対する「審査請求」があります。 また、司法上の救済制度として、裁判所に対して訴訟を提起し処分の是正を求めることもできます。ただし、税務行政では「不服申立前置主義」が取られているため、国税不服審判所長に対する審査請求の裁決を経たあとで、訴訟を起こすことになります。
1.再調査の請求
税務署長が行った更正などの課税処分や差押えなどの滞納処分に不服があるときは、処分の通知を受けた日の翌日から3か月以内に、税務署長に対して再調査の請求を行うことができます。 税務署長は、その処分が正しかったかどうか、改めて見直しを行い、その結果を「再調査決定書」により納税者に通知します。この再調査の請求に係る決定により、納税者に不利益となるような変更がされることはありません。 なお、納税者の選択により、直接国税不服審判所長に対して審査請求を行うこともできます。
- ◆令和4年度の再調査の請求
- 再調査の請求の発生件数は1,533件で、前年度より37.0%増加しました。また、処理件数は1,371件でした。そのうち、何らかの形で納税者の主張が受け入れられた件数(認容件数)は63件(4.6%)でした。なお、再調査の請求については標準審理期間を3か月と定めており、3か月以内に処理された件数の割合は99.5%でした。
2.審査請求
税務署長が行った更正などの課税処分や差押えなどの滞納処分に不服があるときは、処分の通知を受けた日の翌日から3か月以内に、国税不服審判所長に対して審査請求を行うことができます。また、再調査の請求を行った場合であっても、再調査の請求についての決定を経た後の処分になお不服があるときは、再調査決定の通知を受けた日の翌日から1か月以内に審査請求を行うことができます。 国税不服審判所長は、税務署長の処分が正しかったかどうかを調査・審理し、その結果を「裁決書」により納税者と税務署長に通知します。裁決は、税務署長が行った処分よりも納税者に不利益となるような変更がされることはありません。
- ◆令和4年度の審査請求
- 審査請求の件数は3,034件で、前年度より22.2%増加しました。また、処理件数は3,159件でした。処理件数のうち、納税者の主張が何らかの形で受け入れられた件数(認容件数)は225件(7.1%)でした。なお、審査請求については標準審理期間を1年と定めており、1年以内の処理件数割合は95.4%でした。
3.訴訟
国税不服審判所長の裁決を受けた後、なお処分に不服があるときは、裁決の通知を受けた日の翌日から6か月以内に裁判所に訴訟を起こすことができます。
- ◆令和4年度の訴訟
- 訴訟の発生件数は173件で、前年度より8.5%減少しました。訴訟の終結件数は186件でした。このうち、何らかの形で納税者側が勝訴した件数は10件(5.4%)でした。