Management Column出張にも利用可能!GoToトラベルの会計処理は?
本記事掲載時(2020年9月9日)では「Go To トラベル」でのビジネス出張は利用可能でしたが
観光庁は2020年10月29日に、GoToトラベルの対象を観光目的の旅行商品に限定することを発表しました。
GoToトラベルが出張対象外になるのは、2020年11月6日以降の販売分からです。
GoToトラベルの基準変更について詳しくはこちらのコラムページをご覧ください
それ以前の出張や、それ以降でも観光目的でGoToトラベルの支援を受けた場合の会計処理は、本記事を参考にしてください。
新型コロナウイルスの感染拡大で、経済は大きな打撃を受けました。これにより落ち込んだ旅行需要を喚起するため、政府は「GoToトラベル・キャンペーン」を打ち出しています。
このGoToトラベルは、賛否両論で「キャンペーンがあるから旅行に行く」という人もいれば、「特定の業界しか恩恵がない」という意見もあります。また、その効果を疑問視する人もいます。とはいっても、企業にとって、GoToトラベルは出張であっても適用可能、経費削減になります。利用できれば利用したいですね。
今回は、GoToトラベルで支援を受けた場合の会計処理等を考察してみます。
GoToトラベル・キャンペーンとは?
GoToトラベル・キャンペーンとは、新型コロナの感染拡大により落ち込んだ旅行需要を喚起する目的で、宿泊を伴う旅行と日帰り旅行代金を、国が最大5割の補助をしてくれる支援制度です。
補助の具体的な内容は、2020年7月22日以降の旅行を対象に2021年1月末までの予定で、旅行代金の35%は旅行商品の割引、15%は旅行先の登録加盟店で利用可能な地域共通クーポンの発行というものです。1人につき、1泊では2万円、日帰りでは1万円という上限があります。また、政府の予算があり、予算に達した場合は早期終了の可能性もあります。
キャンペーンに参加している旅行会社・オンライン予約サイト・宿泊事業者から申込み、旅行後の還付申請手続きを行うことや、割引価格で旅行商品を購入することで支援を受けられます。
詳しい内容は、公式サイトで確認することができます。
GoToトラベルで支援を受けた場合の会計処理
GoToトラベルで支援を受ける場合には、事後還付を受けるケースと、最初から割引価格で旅行商品を購入する場合とあります。
まず、事後還付の場合は、旅行代金の支払を支払った時点では、通常の仕訳と同じで
(借方)旅費交通費<課税>(貸方)現金預金
という仕訳を行います。
還付を受けた時点で
(借方)現金預金 (貸方)雑収入<不課税>
という仕訳を行います。
ただし、消費税処理の整合性や税務上の安全性を考え、雑収入を課税処理しておく考え方もあります。
最初から割引価格で旅行商品を購入する場合には、厳密に考えると、
(借方)旅費交通費<課税>(貸方)現金預金
(貸方)雑収入<不課税>
という仕訳が考えられます。実務的には、最初から、割引金額で旅費交通費を計上する方法がとられているようです。
最初から割引金額で計上しておく方が、安全かつ簡単だといえます。
GoToトラベルの地域共通券の取扱い
地域共通券の取扱いは、従業員個人が地域共通券を受け取る場合には、従業員の一時所得になると考えられます。会社としては会計処理をする必要はありませんが、出張に行った従業員と行かない従業員の不公平が生じるため、就業規則等で取扱いを決めておく必要があります。 会社が地域共通券を受け取り、従業員に渡す場合には、その地域共通券を従業員が何に使うかにより取扱いが変わってきそうです。会社の人に配るお土産を買うのであれば問題はなさそうですが、もし従業員個人のものを買うのであれば給与となります。
GoToトラベルは、短期間のキャンペーンで、その目的は旅行需要の喚起ですので、課税庁もうるさくは言わないかもしれませんが、従業員間の不公平をなくすために、GoToキャンペーン以外のポイント付与も含め、就業規則等でルールを決めておくのがよいのではないでしょうか。会社での取扱いがしっかりと決まっていれば、会計・税務処理も迷わなくてすみます。